政府がそうした批判も顧みず、経済に「断層」が生じるのを避けようとする背景には、すでに述べた通り、憲法改正に向けて経済の好環境と政権の求心力をできるだけ維持したいという安倍首相の強い意向が働いているものと推察される。

 では、安倍首相はいつまで在任するのだろうか。自民党内でささやかれる党総裁としての4選はあるのか。本稿の後半部分では、そのあたりについて考えてみたい。

 月刊誌「文藝春秋」12月号に、安倍首相インタビュー「安倍『最長政権』の秘密 失敗が私を育てた」が掲載された。時事通信OBで、安倍政権に関連する情報発信に定評のある田崎史郎氏がインタビュアーであることから、筆者はその内容に注目した。

 まず、日本経済・経済政策の関連だが、上記インタビューにおける安倍首相の発言に目新しさはない。12年12月の選挙で、デフレに終止符を打って強い経済を取り戻すことを国民に約束。政権発足後は3本の矢を打ち出し、「経済最優先の政治に取り組んだのです」「その結果、正社員の有効求人倍率も史上(04年のようさ開始以来)初めて1倍を超えました」。

総裁4選を全否定

 消費者物価が低迷を続けていることへの言及はなく、雇用情勢が良好であればそれでよしとする首相の近年のスタンスが、間接的に確認されている。なお、首相の盟友の1人である甘利明自民党税制調査会長は11月11日の講演で、個人的見解として「(物価)1%でも、デフレ脱却と言っていいのではないか」と発言した(ロイター)。

 次に、自民党内でくすぶる「安倍4選論」についてである。甘利税調会長は上記の講演で、トランプ米大統領など強烈な個性の指導者とそれ以外をうまくつないで世界をまとめていける役割を安倍首相は期待されているとし、自民党総裁任期(21年9月まで)の延長は1つの選択肢としながらも、安倍首相本人は「職に恋々としていない」と評した(共同)。

 その首相が文藝春秋インタビューで述べたのは、「(総裁4選の可能性は)ありません。総裁任期は3選まで、と党の規約でも決まっています」「あと2年、全力で結果を出すことが私の使命だと思っています」という、4選論の全否定だった。

 時事通信が9月6日に配信した田崎氏執筆の政治コラム「〔政界・深層海流〕『安倍4選』は無理筋」 には、「安倍自身は任期延長を望んでいるのだろうか。高村(元自民党副総裁)は『積極的に4選を望んでいるように感じられない』と語っているが、私も安倍と話していて同じ感触だ」「権力者はその座に就くと、いつまでもやっていたいものだと言われている。しかし、安倍は今年に入り、私に『精神的にも肉体的にも消耗している』と語った」「安倍の在職期間は今年11月20日、歴代1位の桂太郎(2886日)を抜き、1885年12月の内閣制度発足以来、憲政史上最長となる。もう十分ではないか」という記述があった。