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10月31日、北朝鮮は飛翔体を発射した(写真:ロイター/アフロ)

 米中貿易交渉がつまみ食い的な「部分合意」に向かっている。また、英国のEU(欧州連合)からの離脱が「合意なし」の強行突破にならない可能性がとりあえず高くなった。そのため、金融市場は最近、相対的にリスクが高い金融資産へと投資マネーが向かう「リスクオン」に傾斜している。

 さらに、10月の雇用統計の結果などから米国経済が早期にリセッション(景気後退局面)入りする可能性が減退したことが追い風となり、米国のいくつかの代表的な株価指数は史上最高値を更新した。

 だが、「カネあまり」を足場に高値をつけた市場が、今度は「リスクオフ」に向かう可能性は、常にある。その際には、グローバルに数多いリスク要因が材料に使われやすい。市場で関心が高いテーマの中から、ここでは①中国の対米強硬姿勢、②中東情勢の微妙な変化の兆し、③北朝鮮のいらだちの3つを取り上げてコメントしたい。

市場が注目する3つのリスク要因

 まず、①中国の動向である。米中貿易戦争の行方は、大統領選の前に中国から獲得した成果を選挙民にアピールしたいトランプ大統領側だけでなく、中国の習近平(シー・ジンピン)指導部の意向はどのようなものかという側面からも、しっかりウオッチしていく必要がある。

 その中国は、対米協調路線に見切りをつけたのではないかと報じられている。また、同国が保有する最新鋭兵器はすでに米国を追い抜きつつあるとの見方も出ている。

 中国共産党の新旧指導部が集まって議論する非公式の重要な場である8月の北戴河会議では何が決まったのか。公式の発表が行われないため、関係者などへの取材を基にした報道から実情を断片的に探ることになる。その関連で斬新な情報が、10月1日の朝日新聞朝刊でもたらされた。「習氏、対米協調に見切り 北戴河会議で慎重論突き放す」と題した記事の重要な部分は以下の通りである。

 「『トランプ後の米国と、どう向き合うか』。複数の共産党関係者によると、5月から6月にかけて政府や傘下の研究機関でこんなテーマの検討会が繰り返された。

 トランプ米大統領は中国を揺さぶっている。その交代を望む議論かと思いきや、党関係者は『そうではない』と語る。『トランプだろうが次の誰だろうが、中国を脅威と見る米国の姿勢は変わらない。その前提で対米外交を組み立てよという指導部のお達しだ』」