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米国の過剰消費体質が、世界経済を支えている(写真:PIXTA)

 中国やユーロ圏を中心に、世界経済は全体としては停滞色を強めている。IMF(国際通貨基金)が10月15日に発表した最新の世界経済見通し(WEO)で、世界全体の成長率見通しは19年と20年のいずれについても引き下げられた。19年の新たな予想数値は前年比+3.0%。これを下回ると世界経済で全体に不況色が強まるとされる、大きな節目である。

 世界で最も経済規模が大きい米国でも、景気はスローダウンしてきている。世界的な経済減速・米中貿易戦争・地政学的リスクを巡る先行き不透明感などを背景に、米国の輸出・生産・設備投資や企業の景況感が悪化している。その一方で、後述するように、大黒柱である個人消費の足取りには底堅いものがある。

 こうした「二面性」を十分認識している米連邦準備理事会(FRB)は、彼らの経済見通しに対するリスクがダウンサイドにあることを踏まえた予防的措置として、あるいは2%の目標対比でインフレ率の実績下振れが常態化しており、それが期待インフレ率の不可逆的な下方シフトに結びつかないようにするための保険的措置として、7月と9月に「予防的」あるいは「保険的」な利下げを実施した。

 FRBが今後追加する利下げの回数を決めるのは、上記の「二面性」がどのように展開するか次第であり、中でも個人消費が底堅さをどこまで維持できるかが非常に重要なポイントになる。消費の伸び鈍化が大きなものにならなそうであれば、米国経済がリセッション(景気後退局面)入りするリスクは小さいとみて、予防的な意味合いの利下げ局面は近く終了するだろう。

 これに対し、景気腰折れリスクが増したと判断される場合は、政策金利はゼロ%近くまで引き下げられ、量的緩和の再開も現実味を帯びる。

 米国の景気のベクトルは下向き(=後退)にまでは至らず、上向きの角度が緩やかになる(=減速)ところまでだというのが、市場の内外で、現在はメインシナリオになっている。

 とはいえ、気になる動きがいくつか出てきている。