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9月22日、米ゼネラル・モーターズの12年ぶりの大規模ストに参加したエリザベス・ウォーレン上院議員(左)(写真:ロイター/アフロ)

 3カ月続けて増加していたトランプ米大統領による米連邦準備理事会(FRB)への「口先介入」が、9月は10回未満にとどまり、25回に達した8月から大きく減少した<図1>。

■図1:トランプ米大統領による公の場(含むSNS)でのFRBに対する「口先介入」回数
(出所)米ウォールストリート・ジャーナルの8月19日掲載記事のカウントをベースに筆者がデータ追加

 トランプ大統領が発するメッセージの内容は、このところ安定性を欠いている。中間所得層向けの減税をホワイトハウスが検討しているかどうかでは、大統領の発言内容が二転三転しており、現在では「来年のどこかで発表する」ことになっている(9月12日、共和党議員に対する発言)。

 FRBに対しては、9月の追加利下げを前向きに評価する珍しい発言が、トランプ大統領の口から発せられた。大統領は9月18日、カリフォルニアに向かう途上で記者団に、「私はそれがよいことだと思う(I think it's fine.)。率直に言って彼らはもっと素早く行動すべきだった」と述べたのである。

 同じ日のもっと早い時間にはSNS(交流サイト)でパウエル議長とFRBを「根性も分別も先見性もない!」と激しく批判していたにもかかわらずだ。ちなみに、19日には米FOXニュースのインタビューで、自分はパウエル議長には失望したとしながらも彼の職責は「安全だ」と述べて、議長職からの解任は考えていないことを示唆した。

トランプ大統領の意図やいかに?

 このようなトランプ大統領による「FRBたたき」の減少は、単に大統領の発言内容がこのところ安定しない中での一幕なのか。それともFRBの独立性を脅かすことのデメリットを理解したからなのか。あるいは、まず2020年の大統領選で再選してからパウエル議長を交代させるなどして、じっくりFRBを「取り込む」ことにしたからなのか。1つの結論に今すぐ絞り込むのは難しそうである。引き続き「トランプウオッチ」を続けていくしかあるまい。

 そんな中、バイデン前副大統領が巻き込まれた「ウクライナ疑惑」の関連で、ペロシ議長率いる下院民主党が大統領の弾劾手続きに向けた調査を開始することになった。民主党内でくすぶり続ける弾劾要求に対し、それまで慎重姿勢を崩そうとしなかったペロシ議長。彼女がそうした姿勢を長く取り続けた最大の理由は、20年の大統領選・上下両院議員選への影響をおもんぱかったからだと考えられる。

 モラー特別検察官による「ロシア疑惑」(16年大統領選へのロシア介入疑惑)の捜査報告書は、トランプ大統領の潔白を証明するものにはならなかったが、その一方でトランプ陣営とロシアの共謀、捜査過程における大統領の司法妨害を断定することもないという、グレーな内容だった。