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シンガポールも低成長(写真:ロイター/アフロ)

 中国国家統計局から7月15日に発表された2019年4~6月期の実質GDP(国内総生産)は、前年同期比+6.2%。1~3月期の同+6.4%から鈍化し、1992年以降の最低を記録した。市場の予想通りの数字であり、今年の政府目標である+6.0~6.5%の範囲内にしっかり収まった。したがって、市場への直接の影響は限られた。

 4~6月期の中国のGDPをマスコミはこぞって「弱い」というトーンで取り上げていた。だが、足元の中国経済の動きについては前向きにとらえることも一応は可能である。

 まず、発表された4~6月期の中国実質GDPの季節調整済前期比は+1.6%で、1~3月期の同+1.4%から加速した(市場予想の同+1.5%からは上振れ)。前期との比較を重視する米国流の見方をするならば、4-6月期に中国の景気は勢いを増したとも言える。

 また、GDPと同時に発表された6月単月の各種経済統計は、予想比上振れとなった。6月の小売売上高(社会消費品小売総額)と鉱工業生産、それから1~6月の固定資産投資はいずれも、事前に予想されたより強い数字になり、当局が発動した景気刺激策の効果が4~6月期の終わりの方で出てきたのではないかという見方につながった。

 けれども、これらのうち小売売上高は、前年同月比+9.8%という強い数字(市場予想の同+8.3%から大きく上振れ)の信ぴょう性に疑問を投げかける部分を含んでいた。

自動車販売が伸びを押し上げたが……

 小売売上高が6月に高い伸びを示す原動力になったのは自動車販売の同+17.2%で、国家統計局の報道官は記者会見で、全体の数字を1.6ポイント押し上げたと説明した。しかし、中国自動車工業協会が7月10日に発表した6月の新車販売台数は同▲9.6%という大幅なマイナスの数字である。

 金額ベース(小売売上高)と台数ベース(新車販売台数)という違いがあるほか、統計に計上するタイミングのずれなども考えられるのだが、「関係者は『あり得ない』と矛盾に首をかしげている」という(7月15日 時事通信)。

 なお、6月の新車販売台数の内訳で、乗用車は前年同月比▲7.8%。マイナス幅は5月までよりも縮小したが、これには排ガス規制強化を受けた在庫処分セールが寄与していたもようであり、改善は一時的とみられている。