論より証拠。参議院選挙が終わった後、7月23日の全国紙4つ+東京圏地方紙1つの投書欄から、投稿した人の年齢・職業を見ておきたい。

  • 【7月23日火曜日 朝刊】
  • ◇朝日新聞「声」 ~ 20歳(大学生)、21歳(大学生)、63歳(無職)、43歳(会社員)、61歳(主婦)
  • ◇読売新聞「気流」 ~ 34歳(主婦)、49歳(主婦)、60歳(会社員)
    ※この日は「U-25」のコーナーが別途設けられており、15歳(高校生)、20歳(大学生)、12歳(中学生)、14歳(中学生)の投書あり
  • ◇毎日新聞「みんなの広場」 ~ 77歳(無職)、66歳(主婦)、57歳(公務員)、21歳(保育士)
  • ◇産経新聞「談話室」 ~ 67歳(主婦)、45歳(会社員)、60歳(主婦)、69歳(無職)、74歳(自営業)
  • ◇東京新聞「発言」 ~70歳(主婦)、67歳(派遣社員)、62歳(主婦)、58歳(会社員)、37歳(小学校教諭)、72歳(英会話塾長)

 読売の場合、筆者が上記のリストアップを行った日がたまたま若年層向けの投書コーナーを別途設ける日であり、10代~20代前半の人の投書がまとめて掲載された。それを除いて計算すると、この日の投書掲載者の平均年齢は54.5歳という、かなりの高さである。

 しかも、今回サンプルをとった上記の日は、朝日が20歳代の投書を2つ載せるなど全般にふだんよりも若い人の投書が多かった印象である。約1カ月前にサンプルをとった6月18日火曜日の場合、投書者の平均年齢は、なんと63.0歳だった。

熱気感じられなかった参院選

 「新聞離れ」に加えて、若年層を中心に「テレビ離れ」が急速に進んでいると指摘され始めてからも、すでに時間がずいぶんたつ。ユーチューブなどにアクセスすれば、スマホやパソコンで、興味があるさまざまな動画を自分で選んで楽しむことができる時代である。筆者の場合も、地上波のテレビを見る時間は、以前に比べると相当減っている。

 そうした中、自分が見たテレビ番組の感想や意見を新聞各紙に投書する人は、今では高齢層がほとんどになっている。筆者はこうした欄にも目を通しているのだが、6月18日の東京新聞「反響」欄には、98歳の女性による夕方の民放ニュース番組への感想が掲載されていた。

 7月4日に公示され21日に投開票された参院議員選挙では、いわゆる「老後2000万円問題」や、結局10月に予定通り実施されることになった消費税率引き上げの是非、あるいは安倍晋三首相の政治家としての宿願である憲法改正の是非が争点になったが、世の中で熱気がみなぎっている感じは、選挙期間を通じて全くしなかった。

 NHKが公示前の7月1日に発表した世論調査(調査期間:6月28~30日)によると、参院選の投票に「必ず行く」という人は49%、「行くつもりでいる」という人は30%。調査方法が異なるため単純に比較できないものの、「必ず行く」と答えた人は3年前の前回参院選前の同じ時期と比べ、11%ポイントも低くなっていた。

 期日前投票の出足は良かったのだが、結局、参院選の確定投票率は48.80%で、1995年以来の50%割れ。過去2番目の低さになった。

選挙の立候補者が高齢化

 原因の1つは、候補者の高齢化にもあるのではないか。時事通信によると今回の参院選の候補者の平均年齢は52.9歳で、前回よりも0.8歳高かった。平均年齢は3回連続の上昇である。日本全体が高齢化しているのだから当たり前ではないかと言ってしまえばそれまでだが、高齢者の利害に寄り添う政治に傾斜する「シルバーポリティクス」が進みやすいというのは、日本の将来を考えた場合、いかがなものか。

 世代間の利害の対立が鮮明になっており、しかも日本の将来を担うのは若い世代だということからすれば、彼ら・彼女たちの主張を(その適否は別にして)代弁するような若い政党が出てきてもおかしくないように思う。日本から地理的にそう遠くない香港では、自由な社会を守ろうとする学生らが主導した大規模なデモが、世界の注目を集めている。

 だが日本の場合、今回の参院選における18・19歳の投票率(抽出調査・速報値)は31.33%で、全体の48.80%を大きく下回った。16年参院選(45.45%)、17年衆院選(41.51%)から大幅に低下しており、むしろ若者の「政治離れ」が進んでいる。これは由々しき事態であり、共通のプラットフォームがない中で社会の分断が進みやすくなっている。

 最後に余談を1つだけ。新聞チェックをしていて筆者がいつも感心するのは、若者を中心とする新たな流行をキャッチして紙面で紹介する力が、日経MJ(流通新聞)は抜きんでていることである。たとえば、韓国のタレント経由で日本でも流行したスナップチャット(米国の人気SNS)の通称「赤ちゃんフィルター」(写真を撮ると子供時代風の顔になる)や、都内で流行しているという「シーシャバー」(中東によくある水たばこを楽しめるバー)を、筆者がそうした動きを知ってからさほど間を置かずに、紙面でしっかり紹介していた。

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