7月4日の独立記念日、イベントで手を振るドナルド・トランプ米大統領とメラニア夫人(写真:ロイター/アフロ)

 米連邦準備理事会(FRB)の金融政策運営をトランプ米大統領が公の場で批判した回数の月別カウントが、6月は9回に達した。昨年12月(6回)を大幅に上回る最高記録である<図1>。

■図1: トランプ米大統領による公の場(含むSNS)でのFRBに対する「口先介入」回数
注:19年6月は筆者によるカウント。他は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル 19年6月11日掲載記事による
(出所)WSJ記事を基に筆者作成

 この破天荒な政治家によって、それぞれの月に、実際にどのような「口先介入」があったのかを見ておきたい。

【18年12月】
 ◇トランプ大統領は11日、ロイターのインタビューで、翌週開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決まるとしたら「ばかげていると思うが、私に何が言えるだろう」「(利上げ継続方針は)気に入らない」と発言。パウエルFRB議長について「彼は良い人間だと思う。彼は、自分が最善だと考えることをやろうとしているとは思う。私とは意見が違う」としつつも、「彼は強引過ぎ、あまりにも強引過ぎ、実際にあまりにも強引過ぎると思う」と評した。

 ◇大統領は13日には米FOXテレビのインタビューで、「FRBはこれ以上金利を上げないでほしい」と発言。インフレ率は非常に低く、利上げの必要はないと主張した。

 ◇17日にはツイッターに、「ドルは非常に強く、実質的にはインフレは起きていない」にもかかわらずFRBがいまだに利上げを検討していることが「信じられない」と記述した。

「こういう人間はパットなどできない!」

 ◇金融政策を決定するFOMCの初日である18日にも、トランプ大統領はツイッターで、FOMCのメンバーに「再び過ちを犯してはならない」と求め、「株価の下落を念頭に市場をさらに不安定にさせるな」「市場を感じろ。意味のない数字で判断するな」と記した。

 ◇FOMCで追加利上げが決まった後、米国株は19年も利上げが続くことを恐れて急落した。「米国経済が抱える唯一の問題はFRBだ。相場感覚がなく、必要不可欠な貿易戦争のほか、ドル高、国境問題により民主党が政府機関を閉鎖したことすら理解していない」と、大統領は24日にツイート。「FRBは、力は強いがタッチ(アプローチやパターの感覚)がないためスコアが上がらないゴルファーのようだ。こういう人間はパットなどできない!」と、FRBを厳しく批判した。

 ◇トランプ大統領は25日、ホワイトハウスで記者団からパウエル議長について問われ、「当局の利上げペースは速過ぎる。それが私の意見だ。信頼しているのは確かだ。状況は是正されると思う」と述べた。その10日後である1月4日に、パウエル議長は突然、利上げに慎重なハト派姿勢への転換を表明し、株価は上昇。大統領が述べた方向で「状況は是正」された。

【19年6月】
 ◇トランプ大統領は6月6日収録のFOXニュースのインタビューで、FRBが利上げしなければ株価は今よりも「1万ポイント高かっただろう」、金融当局は「利下げやその他あれこれをすべきだった」と発言した。

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