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 中国の景気指標に底入れ感が最近出ているのは、減税や公共事業などにより中国政府が景気刺激を図っていることに鑑みると、至極当然の現象である。中国当局には以前から、景気の落ち込みがきつくなって社会不安が発生することをひどく嫌う傾向がある。

 だが、OECD(経済協力開発機構)も指摘している通り、当面の景気刺激を優先して構造改革を先送りするのは、本来は望ましくないことである。政策的に需要を先食いさせたことの反動も出てきやすい。人為的な景気刺激を主因とする中国の景気回復が、民需主導の持続的で本格的な景気回復につながっていく可能性は、小さいのではないか。中国景気指標の改善が一定範囲内で止まると、市場では今度は失望感が広がりやすいだろう。

 ② は、インフレ目標2%未達への対応を重視しつつあるFRB(米連邦準備理事会)の今後の金融政策を予想する際の注意事項として、ヒントになる。

FRB利下げの確率は50%超

 ここでは詳述せず別の機会に譲るが、FRBは2019年、金融政策の枠組み見直しを議論する。その中で、インフレ率の上振れを好況期に許容する一方、下振れを不況期に許容することにより、平均的に目標である2%が達成されればよいという考えを前面に出す可能性が高くなっている。

 とすれば、米国の景気がこの先あまり減速せず、逆に多少過熱感を帯びたとしても、物価を2%以上の上昇率にしたいFRBが利上げの再開をためらう可能性は高い。好況にもかかわらずコアベース(変動が激しい食品・エネルギーを除く総合)のインフレ率(個人消費支出デフレーター)が前年同月比1.5%増以下に沈むようなら、利下げが選択肢になり得ると発言する地区連邦準備銀行総裁さえ出てきている。

 そして市場も、想定以上に強い景気ではなく、上昇が鈍い物価の動向を憂慮し、FRBが年内に利上げではなく利下げに踏み切ることを、50%を超える確率で織り込み続けている。これは妥当な読み筋だと筆者は考えている。