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欧州連合(EU)離脱問題について議論する英議会(写真:JESSICA TAYLOR/UK Parliament/AFP/アフロ)

 少し前の話になるが、2019年4月10日に開催された欧州連合(EU)首脳会議は、長時間の議論の末、英国のEU離脱(ブレグジット)の期日を10月末まで延期することをようやく決定。「合意なき離脱(ノーディール離脱)」はしばらく回避されることになった。

 日本では翌11日午前、英国によるEU離脱に対応する関係閣僚会議が開催され、席上で安倍首相は「政府としては、世界経済や金融、為替市場に与えるリスクも踏まえ、市場の安定化に万全を期すとともに、関係国と国際的な協調を進めていく」と述べた。黒田日銀総裁もこの会議に出席。「黒田氏と協力しつつ今後の動向を注視し、必要に応じて適切な対応をとる」との首相発言もあった。

 8%から10%への消費税率引き上げは、これまでに2度延期されている。ブレグジットも2度延期されている。それぞれの経緯を整理すると、以下のようになる。

重なる「消費増税延期」と「ブレグジット延期」

【8%から10%への消費税率引き上げ】
(当初スケジュール)2015年10月

(延期)17年4月
 14年4月に5%から8%に消費税率が引き上げられた後の景気悪化をうけて、同年11月18日の記者会見で安倍首相が延期すると発表。「消費税を引き上げることによって景気が腰折れてしまえば、国民生活に大きな負担をかけることになります。そして、その結果、税率を上げても税収が増えないということになっては元も子もありません。経済は生き物です」

(再延期)19年10月
 16年6月1日の記者会見で安倍首相が再延期すると発表。「世界経済は今、大きなリスクに直面しています。しかし、率直に申し上げて、現時点でリーマン・ショック級の事態は発生していない。それが事実であります」「ですから今回、『再延期する』という私の判断は、これまでのお約束とは異なる『新しい判断』であります。『公約違反ではないか』との御批判があることも真摯に受け止めています」

【英国のEU離脱(ブレグジット)】
(当初スケジュール)19年3月29日

(延期)19年4月12日か5月22日
 19年3月21日のEU首脳会議で、延期することで合意。メイ英首相が求めた6月30日までの延期は認めず、欧州議会選のスケジュールをにらみ、4月12日までに具体的な離脱方針を英国が明らかにするよう要求した。また。英議会が離脱合意案を可決した場合は、関連法整備などに要する時間を考慮し、5月22日までの延期を認めるとした。

(再延期)19年10月31日
 19年4月10日のEU首脳会議で、再延期で合意。トゥスクEU大統領が示した最長1年とする案を多くの首脳が支持したものの、マクロン仏大統領が短期間の延期を強く主張。長時間の協議の末、欧州委員長の交代時期とも重なる10月末までの延期で決着した。6月の首脳会議でレビュー(進捗状況の点検)する。ただし、英国が5月下旬の欧州議会選に不参加の場合は6月1日に離脱する。

 上記の2つの問題が、部分的にではあるが微妙にリンクする構図が見え始めているようにも思う。

 6月8~9日に福岡でG20財務相・中央銀行総裁会議、同月28~29日には大阪でG20サミットが開催される。日本は議長国である。その6月に、EUはブレグジットをレビューする。

「どちらも再延期」なるか?

 そして、消費税率引き上げとブレグジットの現時点での予定期日は、いずれも10月である。ブレグジット関連に限らないが海外の経済情勢が大きく悪化する場合や、内需の底堅さに疑問符が付いてしまう場合は、消費税率引き上げは首相の政治判断で再々延期されるだろう。また、世論調査によると、英国民の過半数がEU離脱の再々延期を予想している。

 そうした中で飛び出したのが、「日銀短観(全国企業短期経済観測調査)の結果次第で消費増税は再々延期の可能性」とした、萩生田発言である。