全3575文字

 そして、その間に累積している緩和長期化の弊害・副作用として、金融機関収益への悪影響を日銀が引き合いに出す機会が多いわけだが、筆者の見るところ、最も深刻な弊害・副作用は財政規律の弛緩(しかん)である。債券市場が機能不全に陥り、財政放漫化に対して警告シグナルを発信する機能が消滅してしまったことにより、緊張感が明らかに低下しており、財政健全化に向けた政府の動きは鈍っている。

令和になっても本質は同じ?

 金利・為替などマーケットの動向を的確に予測することを最終目的にしながら経済指標などをもとに経済を調査・分析する「マーケットエコノミスト」業務に筆者が就いたのは、平成2年(1990年)。銀行系証券に出向した際に日本で初めてチーフマーケットエコノミストを名乗ったのが、平成6年(1994年)だった。平成の歩みと筆者のエコノミスト人生は、ほぼ重なり合っている。

 この30年で、情報通信技術(ICT)が進化・普及したことにより、仕事のプロセスはずいぶん変わった。楽になった面とそうでない面が両方ある。

 だが、景気循環が形成されたりマーケットが上下動したりすることの本質だと筆者が考えている「楽観と悲観の間で揺れ動き続ける人間の心理」は、新しい令和の時代に入ってからも、変わりはないだろう。もっとも、在庫管理担当や市場参加者から人間が排除されて人工知能(AI)だけになり、そこに人間的な感情の揺らぎがインプットされていなければ、話は違ってくるのかもしれないが。令和を見ていく際の、1つの関心事である。