海外投資家の日本株(現物)に対する投資が消極化した理由として考えられるのは、次の3点だと、筆者は整理している。

①人口対策が後手に回った結果、日本の中長期的な成長期待が乏しいこと。
 総務省が4月12日に公表した昨年10月1日時点の人口推計によると、総人口は1億2644万人(前年比▲26万人)で、8年連続の減少。15~64歳の生産年齢人口が占める比率は59.7%に低下し、ついに60%を下回った。一方、70歳以上が20.7%になり、初めて20%を上回った。人口減・少子高齢化を主因とする日本の経済社会の活力低下は覆い隠しようがない。

②日本企業は海外収益への依存度を高めており、その分、円高進行時には収益へのダメージが大きくなること。
 米国株が堅調に推移している間は、市場のリスクテイク志向が高まって(リスクオン)、円を売ってリターンが高い外貨を買う動きが活発になることを通じて円安圧力が強まる。だが、「ミニバブル」再膨張的な様相を呈している米国株が再度急落し、FRB(米連邦準備理事会)が利下げに動くと、日米における金融政策のベクトルの違いが解消し、円高・ドル安が進みやすくなる。

③年間約6兆円という日銀の巨額のETF(上場投資信託)買いによって、東京市場では株価全体および個別銘柄の価格形成がゆがめられていること。

株価の下支えで改革機運が薄れがち

 相場がセオリー通りに動きにくいことを、海外投資家は嫌う。日銀はETF買い入れの見直しを行っており、対象銘柄数が相対的に少ない日経平均型のETFを購入する比率を下げ、東証1部全銘柄が対象であるTOPIX型の比率を上げた。だが、市場に生じている不要なゆがみが消えてなくなったわけではない。

 東証1部上場の企業数が多すぎるという問題意識から改革が議論されており、その行方が注目されるのだが、現時点では日銀の買い入れ対象になっている1部上場企業に対して、常に株価下支え効果が及んでおり、経営改革の機運が薄れがちという問題点がある。

 新しい時代の到来を前に明るい希望に胸を膨らませつつも、終わろうとしている時代に起こったことから教訓を引き出してそれを生かしていこうとする姿勢は欠かせない。

まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。

この記事はシリーズ「上野泰也のエコノミック・ソナー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。