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 訪日外国人による旅行消費(いわゆるインバウンド消費)の金額が、「モノ消費」から「コト消費」へのシフトもあって、このところ伸び悩んでいる。中国・欧州の景気減速やハイテク部品のミニ不況などを背景とする輸出の減少、企業の設備投資姿勢の慎重化、消費マインドの慎重化などを背景に、腰折れ含みの危なっかしい展開になってきている日本経済に、懸念材料が1つ増えた。

 日本政府観光局(JNTO)によると、2018年の訪日外客数は過去最高を更新する3119.2万人(前年比+8.7%)。政府が目指している東京五輪・パラリンピック開催年(20年)の4000万人達成に向けて、順調に増えている。

 ところが観光庁によると、18年の訪日外国人旅行消費額は4兆5064億円にとどまった(今回からクルーズ客急増を踏まえた新しい調査ベース。従来の推計方法では4兆8000億円で前年比+8.7%)。政府が目指している20年の8兆円達成はまだまだ遠い<図1>。

■図1:訪日外国人旅行消費額
注:18年は速報で、クルーズ客急増を踏まえた新しい調査ベース
(出所)観光庁

 インバウンド消費は日本の景気を兆円単位でサポートしてきた要因であるだけに、政府も憂慮している。菅義偉官房長官は1月26日、東京と大阪で訪日外国人受け入れの取り組み状況を自ら視察した。

 観光庁によると、訪日外国人(クルーズ客を除いた一般客)の1人当たり旅行支出は18年に15万2594円。調査方法変更前の17年の数字と単純に比較すると前年比▲0.9%になる。15年にかけては中国人観光客の「爆買い」が注目されたものの、その後は減少してきている<図2>。この流れを反転させることがいま、政府・関連業界の最大の課題になっている。

■図2:訪日外国人1人当たり旅行支出
注:18年は速報で、クルーズ客を除いた一般客のみの計数
(出所)観光庁

インバウンド消費に新たな逆風

 だがここにきて、インバウンド消費にはいくつかの新たな逆風が吹いている。

 2月1日に大手百貨店4社が発表した1月の売上高で、訪日外国人による免税品の売上高が軒並み前年を下回った。報道された業界関係者の見方を総合すると、これには中国の景気減速が影響している上に、ネット通販を規制する法律が中国で1月から施行されたことにより、日本で大量に購入した化粧品などを中国国内で転売するのが難しくなったことが影響しているのだという。

 この中国の法律、電子商取引法(新EC法)については、以前のような中国人の「爆買い」はもはやないので全体的な影響はさほど大きくないのではというやや楽観的な見方もあるものの、現在のように中国景気減速や為替の円高元安とタイミングが重なると、売上高の減少幅が品目によっては大きくなりかねない。

 ここからは、インバウンド消費でいま主役の座にある化粧品について、関連する統計の代表例である、日本人によるものも含めた百貨店における化粧品の売上高を見ておきたい。