全4765文字

 この間、米原油先物市場でも動きがあった。2月20日まで6日続伸するなど、同先物は堅調に推移。3月に受け渡しをする期近3月限(がつぎり)では20日に一時1バレル=57.55ドルをつけた(昨年11月中旬以来の高値)。その背景にあると考えられるいくつかの要因を筆者なりに整理すると、以下のようになる。

「カネ余り」はこれからどうなるのか?

①すでに述べた「カネ余りの宴」再開への期待感
 日米欧バランスシート合計額が縮小に転じることが警戒される中、原油先物の「ミニバブル」が昨年秋に崩壊した。

 ところが、すでに述べたようにFRBのバランスシート縮小は年内にも終了する見通しになり、上記合計額が来年には再び膨らむ展望が開けてきた。米原油先物・非商業取引の建玉バランスを見ると、2018年2月6日に過去最高の73万9097枚の買い越しを記録した後、「ミニバブル」が崩壊して、今年1月8日の27万7211枚までポジションの解消が進んだ。ところがここから買い越し幅は3週連続で拡大した。もっとも、利益確定売りが入った模様で、買い越し幅はその後はやや縮小している<図2>。

■図2:米原油先物・非商業取引の建玉バランス(ロング-ショート)
(出所)米CFTC

②OPEC(石油輸出国機構)主導の協調減産による原油需給引き締まり
 OPECによると加盟国の1月の産油量は前月比▲2.5%の日量3080.6万バレルで、目標80万バレルに近い減産幅がOPEC全体では確保された。

 だが、国際エネルギー機関(IEA)によると、1月からの日量120万バレルのOPECやロシアなどによる協調減産の順守率は86%にとどまる。また、トランプ米大統領のけん制トークやカショギ氏殺害事件への批判がある中で、サウジアラビアがここから原油価格の大幅な押し上げを主導するのは、さすがに難しい。

 仮に原油価格の騰勢が止まらないようだと、ウィーンで4月に開催される会合で、サウジは減産緩和に動くことになるだろう。また、米国内の原油在庫がシェール会社の増産をうけて増加してきていることも、原油先物の上値を抑制する。

③ 米中貿易協議妥結・中国景気ダウンサイドリスク解消への期待感
 しかし、米国との貿易戦争が終われば中国の景気減速が止まるという保証は、どこにもない。中国の経済成長率が今年は鈍化するという大枠に変わりはないだろう。

 米原油先物のコアレンジは1バレル=40~60ドルに戻ったのではないかと、筆者は認識している。仮に60ドルを大きく超えるようなら、協調減産の打ち切りが議論されるだろう。

 米国株にせよ原油先物にせよ、上昇相場のベースにある金融市場の「カネ余り」意識の浮沈を、今後もよくウォッチしていくことが肝要である。