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 次に、FRBのバランスシート縮小が年内にも終わる見込みになったことをうけた、金融市場を取り巻く環境の先行きの大きな変化について、コメントしておきたい。

 昨年秋にかけて観察された米国の主要株価指数高値更新や原油先物急伸に代表される「カネ余り相場」。それがまだ続くはずだという市場の安心感を醸成していたのは、主要3中央銀行(FRB・ECB・日銀)の総資産(バランスシート規模)拡大だった。筆者はそのようにみている。

 ところが、景気指標減速・物価伸び悩みにもかかわらずECBが18年末で量的緩和を止めて再投資政策に移行することが確実視されるに至り、市場は「カネ余り相場」終了を警戒して不安定化。いくつかの「ミニバブル」崩壊を伴いつつ、米国株は急落した(当コラム2018年12月4日配信「『カネ余りの宴』そろそろジ・エンド?」ご参照)。

想定外だったハト派急旋回

 筆者の想定を超えていたのがすでに述べた、今年に入ってからのFRBの「ハト派への急旋回」である。パウエル議長らは利上げを休止して様子見姿勢に転じるのみならず、「量的引き締め」とも呼ばれるようになったFRBのバランスシート縮小について、FFレートのコントローラビリティーというテクニカルな側面の議論を足場にしつつ、早い段階で終了する可能性を前面に出すに至った。

 ハト派のブレイナードFRB理事は2月14日、バランスシート縮小は年内で終了すべきと主張して、同僚たちよりも一歩踏み込んだ。そして、そうした空気がFOMC内で支配的であることが、20日に公表された1月FOMC議事要旨から確認された。

 FRBのバランスシートは、2月13日時点で4兆284億ドルまで縮小した。市場で一つのメドとみられている3兆5千億ドルで縮小を終えるならば、月500億ドルペースのまま走る場合、ブレイナード理事が主張する通り、年内でプロセスはほぼ終了する。

 ECBのバランスシートは、昨年12月28日時点で4兆6690億ユーロ。年明け後は4兆7千億ユーロ前後の横ばい圏内で上下動している。

 日銀のバランスシートは、1月31日時点で556兆9180億円。長期国債買い入れの緩やかな減額(いわゆるステルステーパリング)が影響して、伸びはさらに鈍る公算が大きいものの、バランスシートの規模は拡大を今後も続ける見込みである<以上図1>。

■図1:日米欧中央銀行のバランスシート(総資産)合計額(ドル換算)
注:ECBは1ユーロ=1.13ドル、日銀は1ドル=110円で換算
(出所)米FRB、ECB、日銀資料より筆者作成

 FRBがハト派姿勢をやおら前面に出す中、米国株は大幅に反発した。買い方の頭の中には、FRBのバランスシート縮小が早期に終わるなら日米欧中銀のバランスシート合計額は再び拡大し始めるはずだという「先読み」がある。祝「カネ余りの宴」再開!的な米国株高が起こったと言えそうである。

 ただし、「カネ余り」に過度に依存して実体経済・企業業績の十分な裏付けがない株価の上昇に持続性は伴わないという点には、十分留意する必要がある。大小問わず、バブルは遅かれ早かれ崩壊する運命にある。いずれにせよ、米国内外の株価は、この先も波乱含みである。