全3672文字

 さらに、1月16日に消費者庁が発表した1月の物価モニター調査(速報)では、今後3カ月間の世帯の消費支出額についての回答が、目立って悪化した。「あなたの世帯の消費への支出額を、今後3カ月の間について、去年の同期間と比べて、どのようにしていこうと思っていますか」という質問への回答分布は、「増やそうと思っている」(6.7%)、「特段増やそうとも減らそうとも思っていない」(39.5%)、「減らそうと思っている」(53.8%)になった。<図3>

図3:物価モニター調査、今後3カ月間の世帯の消費支出額
(出所)消費者庁

 上記から消費支出DI(回答比率「増やそうと思っている」-「減らそうと思っている」)を試算すると、1月は▲47.1になる。前月の▲40.7から急低下し、17年1月以来の水準である。<図4>

図4:上記をもとに試算した消費支出DI(回答比率「増やそうと思っている」-「減らそうと思っている」)
(出所)消費者庁資料より筆者作成

 1月の▲47.1という数字は速報ベースであり、確報でマイナス幅が変動することになる。もっとも、昨年12月は速報が▲42.6で確報が▲40.7、その前の11月は速報が▲44.8で確報が▲43.3。マイナス幅が確報段階で大幅に縮小したわけではない。

 このように、10月に10%への消費税率引き上げが予定される中、消費者のマインドに焦点を当てた場合には、相場の用語で言えば、どうも地合いが良くない。

日本型システムの「思考停止」と「制度疲労」

 最後に、消費者のマインドに対する影響の度合いは不明確だが、政府の政策運営に対する不信感を人々が強めかねない大きな問題として、「毎月勤労統計」の不適切手法による調査実施が長期にわたっていた問題についてコメントしておきたい。日本型システムの「思考停止」や「制度疲労」がこの問題で露呈したと、筆者はみている。

 昨年の終わり近く、12月28日に朝日新聞が夕刊1面で報じた記事「勤労統計、全数調査怠る 都内は約3分の1を抽出 GDPにも影響か 厚労省」が、発端だった。この記事を読んだ時には、雇用保険・労災保険などの過少給付が明らかになり安倍首相が陳謝するところまでこの問題が拡大するとは、悔しいが筆者には想像できなかった。政府・与党には、第1次安倍内閣が07年の参院選で惨敗して倒れる大きなきっかけになった「消えた年金問題」の再来を懸念する声もあるという。

 統計法に基づく基幹統計の1つであり、厚生労働省が毎月公表しているこの統計は、都道府県を通して実施している。全国で3万を超える事業所のうち、従業員5~499人は抽出調査だが、従業員500人以上の事業所は全数調査になっている。にもかかわらず、東京都については3分の1ほどの事業所でしか調査が行われず、しかもそうした手法が04年から長期間続けられていた。

 上記の問題から考えるべき重要な点が、2つあるように思う。