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(写真=PIXTA)

 日本の消費者のマインドを示す指標の悪化が、ここにきて目立っている。

 内閣府が1月8日に発表した昨年12月の消費動向調査で、「今後半年間」についての意識をたずねた結果を指数化した消費者態度指数(二人以上の世帯・季節調整値)は42.7(前月比▲0.2ポイント)になった。低下は3カ月連続。指数の水準は16年11月以来の低さである。内閣府の基調判断は「弱い動きがみられる」である。<図1>

図1:消費者態度指数(二人以上の世帯・季節調整値)
(出所)内閣府

 気になるのは、1年後の物価に関する見通し(二人以上の世帯)で、「上昇する」と回答した割合が83.2%になり、前月の84.5%から減少したにもかかわらず(減少は5カ月ぶり)、消費者態度指数を構成する4項目の1つである「収入の増え方」が0.1ポイント低下し、全体の指数も下がったことである。

 電気代値上がりや世界経済の先行きに対する不安感が影響した(共同通信)、原材料費や運送費の高騰に伴いアイスクリームや冷凍食品なども値上がりして「暮らし向き」の判断に悪影響を与えた(時事通信)といった説明がなされているが、このところ急落しているガソリン価格の方が、物価動向の面では消費者の心理に対して影響が大きいのではと、筆者はみている。何かほかの原因を探る必要があるだろう。

消費税率引き上げの警戒感

 その有力な候補が、今年10月に予定されている8%から10%への消費税率引き上げである。車・住宅関連の各種措置やキャッシュレス決済へのポイント還元など、政府はさまざまな消費増税対策を立てているが、筆者は以前より、税率が2ケタに乗ることに伴う消費マインドへの悪影響などを重視する見解をとっている(当コラム2018年11月27日配信「10%への消費増税で気になる『マインドへの影響』」ご参照)。

 消費動向調査は「今後半年間」についての意識を対象にしているため、昨年12月調査は今年10月の消費税率引き上げを含めない回答だったはずである。だが、回答者が実際にどこまでしっかり区切って回答したのかは判然としない。

 そしてその後、1月9日に日銀が公表した昨年12月の生活意識に関するアンケート調査には、10%への消費税率引き上げに対する消費者の警戒感がストレートに示されたと推測できる部分があった。

 日銀のこの調査で、現在の景況感DI(回答比率「良くなった」-「悪くなった」)は▲14.3(前期比▲1.0ポイント)になった。2四半期連続の悪化だが、そう大きな動きではない。

 これに対し、1年後の景況感DI(回答比率「良くなる」-「悪くなる」)は▲32.0(前期比▲14.9ポイント)の急低下。12年12月(第2次安倍内閣が発足して「アベノミクス」が正式に始まった月)以来の水準である。<図2>

図2:現在および1年後の景況感DI
(出所)日銀

 昨年12月から1年先以内であり、消費者のマインドに悪影響を最も及ぼしそうなイベントは、言うまでもなく、今年10月に予定される消費税率引き上げである。日銀情報サービス局は今回の1年後の景況感DI急低下について、「収入の見通しや日本経済の成長力への見方が悪化したことに加え、昨年10月の株価下落も影響したのではないか」とコメントした(時事通信)。黒田東彦日銀総裁が財務省の出身ということもあり、消費税率引き上げというイベントの存在にはあえて触れなかったのかもしれない。

 14年4月の前回消費税率引き上げ局面を振り返っておくと、増税が向こう1年以内というスパンに入った13年6月調査では、現在の景況感DIは▲4.8(前期比+17.8ポイント)、1年後の景況感DIは+7.5(同+0.7ポイント)で、ともに上昇した。

「アベノミクス」初期に膨らんだ景気回復期待の中で、消費税率引き上げへの警戒心は薄れがちだったのだろう。しかし、次の13年9月調査では、現在の景況感DIが▲8.3(前期比▲3.5ポイント)になる一方、1年後の景況感DIは▲9.6(同▲17.1ポイント)で、後者の大幅悪化が目立った。