だが、よく考えてみると、皇位継承(4月30日・5月1日)とG20首脳会議(6月28~29日)はいずれも、7月の参院選よりも前である。消費税率引き上げは10月1日に予定されているものの、グローバルな経済・金融市場変調を背景に4月早々にも再々延期がアナウンスされる可能性が十分あると、筆者はにらんでいる。

 そして、衆参ダブル選の大義名分として想定されているのが、消費増税再々延期と、「2島プラスアルファ」による北方領土問題解決である。

 読売新聞は1月8日、「日露で賠償請求放棄案 北方4島 平和条約締結時に 政府提起へ 元島民ら日本が補償」と、1面トップで報じた。近い将来の北方領土問題解決に、安倍内閣は明らかに前のめりである。

 また、永田町では古くから「総理大臣は衆院解散と公定歩合についてはうそをついてもいい」と言われている。

「首相は、解散についてはうそをついてもいい」

 金融市場自由化の中で公定歩合は形骸化しており、1998年4月に新日銀法が施行されて日銀による金融政策決定の独立性が(少なくとも形式上は)増したことから、公定歩合に関する首相の発言は意味がなくなった。だが、衆院解散についてはうそをついてもいい(本当のことを言わなくてもかまわない)という部分は、永田町では今なお常識のようである。

 したがって、参院選にタイミングを合わせた解散は「頭の片隅にもない」と首相が繰り返しても、それを額面通りに受け止める人は少ないだろう。

 自民党関係者によると、安倍首相は周辺には「今年は何があるか分からない」と語っている。また、7月の参院選では自民党が圧勝した13年当選組が改選を迎えるため「いかに議席減を抑えるかという戦いになる」(閣僚経験者)。自民党内では「組織をフル回転させる同日選なら必ず勝つ」(幹部)との読みが主流だという(1月7日 時事通信)。野党の選挙協力が急速に進めば話は変わり得るものの、そうした機運は現状乏しい。

 なお、菅義偉官房長官は1月3日 放送の文化放送の番組で、今年10月に10%への消費税率引き上げを予定通り実施するかどうかの政治的な最終判断のタイミングについて、「そんなに時間はかけられない。(予算成立が)一つの区切りでは ないか」と述べて、19年度予算案の成立後になるという認識を示した。毎月勤労統計調査の不適切な調査手法問題で19年度予算案は異例の組み換えを経ることになったが、例年通りに3月末近くに予算が参議院本会議で可決成立する場合、4月早々が安倍首相による最終判断のタイミングになる。

 一方、太平洋の向こう側、アメリカでは、トランプ大統領が相変わらずメキシコ国境の「壁」建設費用の予算計上にこだわり続けており、下院を掌握している民主党と激しく対立。連邦政府機関の一部の閉鎖が年明け後も続いており、1月12日には過去最長を更新する22日目になった。

 株価急落に直面してFRB(米連邦準備理事会)の利上げ路線を昨年12月に繰り返し批判した後も、トランプ米大統領の言動には焦りの色がうかがわれる。「壁」の建設に固執して招いた政府機関閉鎖については、民主党執行部との協議の席上、「(民主党が譲歩しなければ)きわめて長期間、何カ月でも何年でも政府を閉鎖してやる」と述べたという。何年も閉鎖を続けようとするなら、次の大統領選が来てしまう。

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