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輸入は縮小、景況感は悪化

 消費税を増税し、東京オリンピックがもたらす投資効果も剥げ落ちると考えれば、景気は後退する可能性が高いと考えます。

 ここで日本経済の現状を見ておきましょう。まず、GDPです。皆さんもご承知のように、日本は戦後最長の景気拡大を続けていると推測されていますが、それほど力強いものではありません。表のGDPの中の「実質」の成長率を見てください。消費増税があった2014年度は▲0.4%。それ以外の年度も13年度を除いて、12月%前後の数字です。

 四半期ごとの実質GDPの成長率に注目すると、16年度と17年度はずっとプラスです。この数字は「前年同期比」ではなく、「全四半期比年率換算」です。つまり、前の四半期に比べてどれだけ上がったか下がったかを「年率」で見ている数字。16年度と17年度の各四半期の成長率がずっとプラスということは、前の四半期よりどんどん成長したということです。成長率こそ高くはありませんが、拡大を続けていたのです。

 ところが、2018年に入ると、1-3月はマイナス、4-6月はプラス、7-9月はマイナス、10-12月はプラスと、マイナスとプラスが交互に出てくるようになりました。前四半期を超えての成長が難しくなってきたのです。

 今年に入り1-3月の実質GDP成長率に注目が集まりました。多くのエコノミストはマイナスを予想していましたが、結果は2.2%(一次改定値)と予想を超える成長となりました。ただ、この中身をよく見ると、輸入減少による貿易赤字額の縮小や在庫の増加など、あまり好ましくない要因が成長要因となっています。

 「貿易収支」(輸出―輸入)を見ると、直前の10-12月期よりも赤字額が減少しました。理由は輸入の減少。これはGDPの計算上は成長要因となります。同様に、在庫が膨らむのは景気にはよくありませんが、GDPの計算上は「在庫投資」としてプラスに働きます。

 肌感覚での景況感を表す「街角景気(景気ウォッチャー調査)」は内閣府が毎月、タクシー運転手や小売店の店頭に立つ人、中小企業経営者など、景気に敏感な人たちを対象に行う調査で、「50」が景気が良いか悪いかの基準となります。このところはずっと50切れが続いています。さらには、特に最近は50からの乖離(かいり)が大きくなっています。5月は43.5。肌感覚の景気の状況は悪いのです。