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消費増税の延期を表明する安倍首相。撮影は2016年6月(写真:AFP/アフロ)

 政府が「骨太方針」に、10月1日に消費税率の引き上げを行うことを盛り込みました。高い確率で増税が実施となる予定です。しかし、日本経済の現状は、米中摩擦の影響や米国の金利引き下げの思惑がもたらす円高もあり、決して楽観視できる状態ではありません。今回は、日本経済の現状を分析しながら、注目点について説明していきたいと思います。

税率の上げ幅は前回より小さいが…

 まず、注目して見ていただきたいのは、前回(2014年4月)の消費税増税のインパクトです。家計の支出に大きな影響が出ました。

 表に示したのは「消費支出2人以上世帯(前年比、実質)」の数字です。名目GDP(国内総生産)の55%程度を占める家計の支出の状況を端的に表す数字です。

 消費税増税の前年にあたる2013年度は+0.9%。この年は「異次元緩和」が始まった年でもあり、消費税増税前の駆け込み需要があった年でもあります。そして、増税のあった14年度は▲5.1%と大きく落ち込みました。

 政府も14年度の消費がある程度落ち込むのは想定の範囲内だったと思います。予想外だったのは、翌15年度から3年度続けて、家計の消費がマイナスだったことでしょう。それぞれ、▲1.2%、▲1.7%、▲0.3%と17年度まで落ち込みが続いたのです。先ほども述べたように、家計の支出はGDPの55%強を支えます。このため、企業業績が良く、GDP全体はなんとかプラスを維持したものの、成長に力強さを欠くことになったのです。

 前回の税率引き上げは3%であったのに対し、今回は2%。そのインパクトは前回よりも小さいと言えます。また、政府も前回の痛い経験を生かし、ポイント還元などで景気を刺激しようと考えているので、税率引き上げのインパクトは和らぐと考えられます。

 しかし、今回は、このままでは景気下降局面を迎えるタイミングでの税率引き上げとなります。

 来年は東京オリンピックの景気浮揚効果が期待できます。けれども、主な投資は今年中にほぼ終わってしまいます。筆者は通勤途中に新国立競技場をよく見かけます。外観はほぼ完成しており、クレーンの数もめっきり減少しました。