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 当時の貸借対照表からも苦悩が読み取れます。赤字が続くわけですから、現預金は2015年に203億円まで減少。マクドナルドくらいの規模の会社なら、月商の1カ月分(当時の月商は158億円)くらいあれば問題はありませんが、結構そのレベルを下げています。

 もちろん、それまで保有していた現金だけではこのレベルを維持できませんから、2014年から15年にかけて借り入れを大きく膨らませています。2015年末には短期借入金50億円、長期借入金181億と一気に有利子負債を増やしました。(それに1年内返済予定の長期借入金が25億円あります)。借り入れにより必要なキャッシュ(現預金)を確保したということです。それまでは長期借入金が5億円あっただけです。おそらく、以前支援してくれた金融機関への義理で借りていたのでしょう。

 そういう厳しい業績の中でも金融機関からの借り入れがある程度スムーズにできたのは、それまでの財務内容が抜群で、中長期的な財務安定性を表す自己資本比率が格段に高かったからです。しかし、その自己資本比率も2015年1年だけで17.6ポイント下がって60.9%となりました。

減価償却費を大きく上回る投資を断行

 一方、こうした厳しい状況の中でも必要な投資を続けていたことがキャッシュ・フロー計算書から読み取れます。キャッシュ・フロー計算書の中で、企業の投資の状況を表す「投資キャッシュ・フロー」の項目を見てください。「有形固定資産の取得による支出」が、主に設備投資を表しています。

 この金額が多いか少ないかを判断する基準として、筆者は営業キャッシュ・フローにある「減価償却費」と比べます。これは、既存の設備などの価値の目減りを示します。普通は、この減価償却費分と同規模の再投資をしないと、既存ビジネスを維持するのが難しくなります。しかし、業績がしんどくなると、その再投資がおぼつかなくなることが少なくありません。

 マクドナルドは、しんどい時期でも減価償却費を大きく上回る投資をしていたのが分かります。これが復活への伏線だったと筆者は考えるのです。通常の営業活動から稼ぐ「営業キャッシュ・フロー」は利益が大きくマイナスのためマイナスです。さきに説明したように、手持ちの現預金を取り崩し、さらには借り入れを行うことで、この資金を賄ったのです。