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「家計の支出」「企業の支出」は失速している

 まず「家計の支出」。2019年1月5日付の日本経済新聞朝刊に、「中国『背伸び消費』曲がり角 当局引き締めで不動産失速 スマホや車、不振鮮明」 という記事がありました。

「中国の個人消費が振るわない。米アップルの業績下方修正の主因となったスマートフォン(スマホ)だけでなく、自動車販売も大幅な減少が続く。中国当局が景気対策で家計に借金をさせ、マンションなど資産価格高騰が演出した『背伸び消費』が曲がり角を迎えたようだ」

 2018年11月の小売売上高(社会消費品小売総額)の伸びは前年同月比8.1%と15年ぶりの低水準だといいます。さらには中堅以上の小売業の伸びも同2.1%と過去最低で、物価上昇の影響を差し引くと実質的にマイナスとのことです。中でも、自動車は5カ月連続で販売台数が減少しています。2018年通年での自動車販売台数は28年ぶりの前年割れです。

 小売売上高は家計の支出と同じ定義ではありませんが、家計の支出を代表する要素です。それが低迷しているのです。

 続いて「企業の支出」。

 2019年1月22日付のフィナンシャル・タイムズに「中国経済減速 民間企業、資金繰り苦戦」 という記事がありました。

 要約しますと、中国政府は債務に依存した経済を見直そうとしており、国内の銀行が貸し出しに消極的になっている。中国では、GDPの半分以上を民間企業が支えており、税収や研究開発費、都市部の雇用、輸出については民間企業の占める比率が50~90%に達する。

 ところが、2016年に正規の銀行セクターが提供した新規融資のうち、民間企業に向けたものはわずか11%。これに対して国有企業向けは80%以上を占めるとのこと。中国では、非効率な国有企業をいまだに維持しようと努めているのです。

 こういった状況下で、GDPの多くを支える民間企業の経営者、あるいは起業家たちは資金繰りに苦慮するだけではなく、活力も失っている。もちろん、業績も悪化しつつあります。

 このように企業の業績が落ち始めますと、当然のことながら経営者たちは設備投資にも消極的になります。「企業の支出」の減少に繋がるわけです。

 これを裏付ける報道がありました。1月17日、モーター大手の日本電産は米中貿易摩擦 の影響で2019年3月期の業績予想を下方修正 。永守重信会長は「変化は尋常ではない」とコメントしました。

 日本電産は、中国で自動車部品や家電製品、工作機械などを生産しています。売り上げ全体に占める割合は24.0% 。ここが打撃を受けたことは、中国で設備投資が減少していることを示しています。

 もちろん、中国政府も昨年秋以降から、金融を緩和気味に誘導していますが、なかなか民間企業の資金繰りは厳しいようです。