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景気が後退しても、日銀はもう打つ手がない

 最後のポイントは、景気が後退し始めた時に日銀にはもはや打つ手がないことです。

 私は毎日、日経新聞朝刊のマーケット総合面にある「日銀当座預金残高」を確認しています。ここ数カ月間は390兆円前後を維持しています。一時期は400兆円を超えるかどうかという水準まで増えていました。

 あれだけ急速に増えていたマネタリーベースが増えていないのです。つまり、日銀は国債の買い入れを事実上ストップしているということです。これは「ステルステーパリング」(中央銀行が正式に公表明せず、密かに金融緩和を縮小すること)と呼ばれるもの。日銀は完全になりを潜めてしまっているのではないかと感じます。これ以上日銀が国債を買い上げることは、市場に与える悪影響のほうが大きいですからね。

 これから高い確率で景気後退期に突入します。しかし、日銀に打つ手は残されていません。金利はすでにマイナス圏。「マイナス金利の深掘りをするのではないか」との意見がありますが、そんなことをすれば、それでなくても収益環境の厳しい金融界が猛反発するでしょう。

 昨年11月に開いた金融政策決定会合で日銀は、10年国債利回りの変動幅を0%を中心に上下0.2%に広げました。従来と比べて2倍の幅にしたわけですが、わずかな幅です。今後、例えば上下0.4%まで広げることがあるかもしれませんが、景気浮揚策としてはほとんど意味を持たないでしょう。

 我々が注意しなければならないのは、景気後退期に入っても、日銀は何もできないということです。金融政策はもう打つ手がない。頼みの綱である財政出動も、消費増税を実施するのであれば、“焼け石に水”になりかねません。

 駆け込み需要もそれほど期待できないでしょう。ある小売業の経営者は、「2%くらいの税率引き上げであれば、駆け込み需要はほとんどないだろう。しかし、確実に一つ言えることは、増税後は皆、財布の紐を締めることだ」と話していました。私も、そういったネガティブな影響の方が大きいのではないかと思います。

 今年の予測は厳しいものとなります。ただし、先にも触れましたように、不確定要素が多々あります。今回挙げたポイントを注意深くチェックすることが肝要です。