年末年始はダウ工業株30種平均をはじめとする株価が乱高下し、2019年は波乱含みの幕開けとなりました。今年の日本経済はどうなるのか。米中貿易摩擦はどこまで影響するのか。今回は、2019年の日本経済の展望と注目すべきポイントについてお話しします。

 波乱要因はいくつもあります。私が特に注目している点は次の4つです。一つは、国内景気の変調。2つ目は、中国経済、特に中国の経常収支の動向。3つ目は、消費増税の行方。4つ目は、日本銀行は金融政策において打つ手がない、という点です。順を追って解説していきます。

日銀の黒田東彦総裁。景気後退時に、日銀に残された政策はほとんどない(写真:ロイター/アフロ)
日銀の黒田東彦総裁。景気後退時に、日銀に残された政策はほとんどない(写真:ロイター/アフロ)

米中貿易摩擦が本格化する前から日本景気は足踏み

 まずは日本の国内総生産(GDP)の推移から見てみましょう。

 ご存じのように、2019年1月まで景気拡大が続くと、4年9カ月続いた「いざなぎ景気」 を超え、戦後最長の景気拡大となります。

 ところが、実質GDPの成長率の推移を見ると、2018年はマイナスの数字が入り混じっています。2018年1-3月期の実質GDP成長率(年率換算)は▲1.3%。4-6月期は2.8%。7-9月期は▲2.5%と、上がったり下がったりの状況。

 「なぜマイナスの数字もあるのに景気が拡大していると言えるのでしょうか」という質問をよく受けるので、ここで景気拡大の定義について復習したいと思います。正確な景気の山と谷は、政府の景気動向指数研究会が認定するもの 。実務的には、2四半期連続で実質成長率がマイナスになると、「景気後退」と見なします。2月に発表される18年10-12月期の数字は大方の専門家がプラスと予測していますから、景気は後退していないと見なすことになるでしょう。

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