(写真:Shutterstock)
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 「河合さん! 原稿料、40%上げます! 我が社も頑張りますので、これからもよろしく!!」――、という“夢”を見た。

 40%……、これはかなり大きい。そのビッグな賃上げを「は~い、やりま~す!」と宣言したのが、ユニクロを運営するファーストリテイリングだ。「国内と海外の報酬の差をなくし、能力や実績などに応じた形にする」のが目的だ。

買い物後のレシートに目を凝らす日々

 報道によると、対象となるのは同社で働く国内の正社員約8400人。新入社員の初任給は、現在の月25万5000円から30万円に引き上げられ、入社1~2年目で就任することが多い新人店長は月29万円から39万円と、なんとなんとの10万円増! その他の従業員も数%から最大40%まで引き上げられる。年収の引き上げを行う一方で、国内の従業員に支給してきた役職や勤務地に応じた手当は廃止するという。

 2013年4月にファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、「世界統一賃金構想」なるものを掲げ、「同じ会社にいても、国が違うから賃金が低いというのは、グローバルに事業を展開しようとする企業ではあり得ない。『グローバル企業』だから、同じ能力・職務内容にはどの国でも同じ給料で報いる」と明言。さらに、「うちの年頭の標語は、チェンジ・オア・ダイ。変わらないと死ぬ。グローバル化というのは、Grow or Die(グロウ・オア・ダイ)」とも語った(13年4月23日付朝日新聞「ユニクロ 世界で賃金統一」より)。

 同社の発表によれば、21年9月からの1年間の売り上げは2兆3011億円、純利益は2733億円と、ともに2年連続過去最高。要するに、今回のサプライズ賃上げは、「Grow」するように勝負をかけた、ということなのだろう。

 この前代未聞のサプライズ賃上げに、「あ~あ。うらやまし」と深いため息をついた人は多かったはず。「自分の会社」のサプライズなら、よっしゃー!! と気合も入るが、「我が社の賃金」が上がる見込みは……ほぼない。

 おまけに、電力やガスなどの光熱費は上がり続け、寒さを我慢して使用量を下げて、下げて、下げまくっても、請求書に書かれた料金は減るどころが増え続けている。近所のスーパーで買い物するたびに、「え? 何をそんなに買ったけ?」とレシートに目を凝らす日々の連続である。
 おかげで実質賃金は下がり続け、22年11月の1人当たり実質賃金は前年同月比で3.8%も減った。11月としては過去最大の減少幅で、実質賃金の水準も最低だった(厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和4年11月分結果速報」)。

出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和4年11月分結果速報」
出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和4年11月分結果速報」
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