(写真:Shutterstock)
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 2023年になってしまった。
 “しまった”とは新年早々後ろ向き過ぎる。
 かと言って、「やった! 2023年です!! 皆さん、頑張りましょう!!」とカラ元気を出すほどあり余る気力は……、「結構あります!」ということにしておきましょう。

 はい、新年ですしね。大みそかの紅白歌合戦では“時代遅れのRock'n'Roll Band”に、しびれまくり、失神寸前になり、何かを完全に注入され、結構、やる気満タンになりましたし。
 なんといっても、23年は「癸卯(みずのと・う)」の年。飛躍や向上の年だそうで、ぴょんぴょんぴょ~んと、ぜひともいい一年にしたいです。

ジョブ型で、昭和の働き方と決別?

 というわけで、今年も微力ながら「読んでよかった!」と一人でも多くの人が元気になることを願って筆を走らせます。引き続きよろしくお願い申し上げます。

 さてと、23年最初のコラムは「これからの私たちの働き方」というテーマで、あれこれ考えてみようと思う。
 キーワードは、「ジョブ型雇用」だ。この年末年始、新聞各紙を読み漁ったのだが、特に目に付いたのが「ジョブ型」に関する記事だった。リスキリングに関するものもかなりあったけど、そのほとんどは、ジョブ型とセットで語られていた。

 ご承知のとおり、ジョブ型は新型コロナウイルス禍で、在宅勤務が急速に広まったことで一気に注目を集めた。

 20年7月には、KDDIが正社員1万3000人を対象に、21年4月以降、順次、ジョブ型雇用を導入していくと発表。当時、高橋誠社長は「時間や場所にとらわれず、成果を出せる働き方を実現する」とその狙いを強調した。
 また、富士通はジョブ型雇用を20年度に、課長級以上の約1万5000人を対象に導入し、一般社員にも広げていく計画を発表。この他にも日立製作所、三菱ケミカル、資生堂、カゴメなどが相次いで、ジョブ型の導入を表明した。

 当時は、緊急事態宣言が繰り返し出されていたので、企業の人たちとフェイスtoフェイスでお会いする機会も制限され、“現場”のジョブ型に対する温度感を聞けなかった。が、22年は現場に行くたびに、ジョブ型の話題が出た。というか、私から話題を振った。
 「実際のところ、どうなんでしょうか?」と。

 なにせ「ジョブ型にすれば、昭和の働き方と決別できる!」「ジョブ型は日本経済再生の突破口になる!」「ジョブ型になれば能力次第で賃金アップが期待できる!」「ジョブ型は社員の自律性向上の切り札になる!」「ジョブ型が広まれば雇用の流動化が期待できる!」、といった具合に、よーこそジョブ型! バンザイジョブ型! といった言説が、メディアで飛び交ったからだ。