(写真:Shutterstock)
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 また、1年が終わる。
 あっという間なのは毎度のことだが、2022年はその“あっと”が、例年にも増して種々雑多な問題のオンパレードで、かなりゴチャゴチャな“あっと”だった。なんとかかんとか元気に年末を迎えられて、個人的にはかなりホッとしている。

 であるからして、11月から始まったサッカーワールドカップの“ビタミン注入度”に、深く感謝した。ワールドカップ限定の、正真正銘のにわかファンだが、三笘薫選手の「1ミリ」には、「ああ、自分も足をとにかく出さなきゃ!」と奮起させてもらったし、フランスとアルゼンチンの頂上対決にもえらく感動した。

他者を思いやる心が、やたらめったら、遠くなった

 老骨にむち打って、朝早くに起きて仕事! が多い1年だったので、ワールドカップは“師走仕事”のお供だった。前向きな気持ちで22年の最終週にたどり着けたのは森保ジャパンのおかげだ。23年はラグビーワールドカップもあるし、今から楽しみだ。

 さて、皆さんはいかがだったでしょうか?
 22年もたくさんの方に読んでいただき、たくさんのコメントをいただきました。
 皆様のおかげで、このコラムを15年以上書き続けられています。不定期で行っている対談もたくさんの方に見て、読んでいただきました。

 心より、感謝いたします。ありがとうございました。

 これも毎年書いているかもしれないけど、毎週コラムを書いていると、ピンポイントだと分からない、世間の空気の“流れ”のようなものを感じ取ることができる。
 22年のそれは……、わびしさが目立つ一年だった。時折、さびついた鋭利なものが見え隠れしたし、大きな流れとしては決して前向きものでも、明るいものでも、温かいものでもなかったように思う。

 3年前、100年に1度の新型コロナウイルスのパンデミック(懐かしい言葉だ!)に襲われたとき、真っ正面から人を見つめて話すこと、不安そうな手を握ること、うれしくて思わず抱きしめること、直接触れ合うことが、とてもとても特別なことで、大切なことで、それができなくなったときの喪失感を私たちは学んだはずなのに……、今年は他者を思いやる心が、やたらめったら遠くなった。

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