(写真:Shutterstock)
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 想像力の欠如なのか?
 数年前に横行した生活保護たたきと同じなのか?
 「お米が買えない」という調査結果の報道に対するSNS(交流サイト)の反応に、何とも言葉にし難い嫌な気分になった。

 異論・反論・疑義が相次いだのは、全国のひとり親家庭を支援する団体でつくる「シングルマザーサポート団体全国協議会」の調査結果だ。

「黙れ!」「嘘つき!」といった声

 協議会所属の団体が支援しているひとり親約2800人を対象に、「生活必需品の物価高が、ひとり親家庭の生活に与える影響」に関するインターネット調査を実施したところ、お米などの主食を買えない経験があった人が半分以上いたことが分かった。
 この結果を共同通信などが、「ひとり親、米を買えず5割超 物価高で、支援団体が調査」との見出しで報じたところ、瞬く間にSNSで拡散され、「そんなことあるわけない」という意見がSNSに飛び交ったのである。

 「浅はかな記事。マスコミが不安をあおりたいだけ」
 「インターネット調査って。ネット使えるヤツが米買えないのか? 家計簿チェックしろ」
 「嘘つくな!」
 「米買わないで、他の高い物買ってんじゃね?」
 「米も買えない親に子育てする権利与えるなよ」
 「ひとり親世帯だけ給付金とか散々もらってるくせに、何言ってんだよ」
 「生活保護でも米くらい買える」
 「シングルマザー保護し過ぎ。米は嫌いだからパン買ってるってことだろう」
 「くそみたいな報道だな」
 etc……。

 中にはここに書くのもはばかられるような罵詈(ばり)雑言や、「シングルマザーで子供も3人育ててますけど? 米買えないなんてありえない」「米買えないは、さすがにない。ひとり親ですけど」といった“私もシングルマザーですけど何か?”的バッシングもかなりあった。

 念のために断っておくが、「私だって大変だったけど、米くらい買ったわよ!」という主張を、否定する気は一切ない。
 しかし、今回の調査結果を読めば分かる通り、「そういうことがあった」というだけ。「買うのをためらった」と言い換えてもいい。

 なのに、そういった状況を想像することなく、「黙れ!」「嘘つき!」といった声があふれていた。……これはさすがにひどいというか、醜いといいますか。

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