(写真:Shutterstock)
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 ひょっとしたら「働かないおじさん」は時代の最先端だったかもしれない? なんて、たわけたことを思わせる議論が、海の向こう、米国で勃発している。

 Quiet Quitting。日本では「静かな退職」と訳され、「ハッスルカルチャー(仕事を全力で頑張る文化)はもう古い。必要以上に一生懸命働くのをやめよう」というような意味合いで使われる現象がにわかに注目を集め、7月末にTikTok(ティックトック)で公開された、@zkchillinと名乗る男性の動画がバズり続けている。

世代ではなく、「働き方のパラダイムシフト」

 「Quiet Quittingという言葉を最近知った」というフレーズから始まる動画は、「これは何も仕事を辞めることではないんだよ。もう、無理をして必要以上のことをしないってこと。仕事を全力で頑張るハッスルカルチャー的考えをやめてもいいかなぁって。だって、仕事だけが人生じゃないし、人の価値って仕事の成果で決まるもんじゃないしね」と続いた(河合訳)。

 “I recently learned about this term called ‘quiet quitting,’ where you’re not outright quitting your job but you’re quitting the idea of going above and beyond. You’re still performing your duties but you’re no longer subscribing to the hustle culture mentality that work has to be your life. The reality is it’s not, and your worth as a person is not defined by your labor.”

 さらに男性はコメント欄で、「もし、あなたが嫌な思いをしてるのなら、早く逃げて! あなたの心の平和が一番大切なんだよ」(“If you’re miserable, get outta there! Your peace of mind comes first.”)と呼びかけ、コメント欄には賛同する意見が多数集まった。

 この動画は米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが取り上げさらに話題を呼び、11月10日時点で49万回以上再生され、“Quiet Quitting”肯定派と否定派の激しい議論は、私的な意見、エッセー、論文と、幅広い分野で、幅広い世代の人たちにより展開されている。

 日本では「Z世代の新しい価値観」のように取り上げているメディアもあるが、世代ではなく、「働き方のパラダイムシフト」だ。

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