(写真:Shutterstock)
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 今から10年くらい前だろうか。講演会の講師として沖縄に呼ばれ、珍しく一泊したことがあった。

 沖縄だろうと北海道だろうと、大抵は日帰り。だが、現地の役場のスタッフたちが、「話を色々と聞いてもらいたい、意見を聞きたい」とのことで、沖縄料理のお店で少々ディープな時間を過ごさせてもらった。

好きなだけ、気ままにゆるくつながれる

 沖縄の基地問題、民主党(当時)が政権を取ったことで起きた“変化”、子供の学力向上への取り組み、シングルマザー問題などに加え、企業誘致に積極的に取り組んでいることや、那覇空港の物流ハブ化など、“そこで暮らす人”しか知りえない話や感情を教えてもらった。

 で、その時に、「河合さんも、研究者の人たちと話すときって英語で話すんですか?」と聞かれたのだ。

 「……英語? 研究室は9割が日本人なので日本語ですけど。原著論文は海外のものをレビューしますし、自分が海外ジャーナルに投稿するときや、国際学会では英語が公用語ですけど……、なぜ?」というような感じで返した、と思う。

 すると、
 「ほら、なんだっけ? サロン?」
 「いやいや、サロンじゃなくて……、パブって言ってなかったか?」
 「なんかね、詳しいことはよく分からないんですけどね、研究者の人たちが集まってお茶やお酒を飲むような場所が必要なんですか?」
 と、スタッフの人たち。

 なんでも新しい大学ができたのだが、その最大の“ウリ”が、「つながる場所がある大学」らしい。
 「それって面白いなぁと思ったんですよね。沖縄のゆいまーるみたいですよね」と、言っていたのである。

 はい、もうお分かりですね。
 “新しい大学”とは、沖縄科学技術大学院大学(OIST)のこと。
 先日、ノーベル生理学・医学賞を受賞したスバンテ・ペーボ教授が、2020年5月から客員教授を務めていたことで注目が集まっている、大学院大学だ。

 沖縄でアテンドしてくださった人たちが、「サロン、パブ、ゆいまーるみたい」と言っていたのは、正確には「ティータイム」のこと。

 OISTには、海が見えるカフェテリアや、オープンラウンジ、共同キッチンなど、集まってディスカッションができる「場」がいくつもつくられていて、横や縦や斜めの関係にある校内の研究者たちと、好きな時に好きなだけ、気ままにゆるくつながれるようになっているのだ。

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