
このところ色々な企業の人たちから、「辞める30代」について相談や質問を受けることが増えた。
数年前は「辞める新入社員」が社会的な問題として注目されていたけど、最近の関心はもっぱら「企業の主力として期待されている30代」の離職問題にあるようだ。
「新型コロナウイルス禍で賞与が出なくなったことで、30代、40代の主力社員が続々と辞めてしまいました。今は業績も回復してきて、収入もコロナ前の水準に、近いうちには戻ります。でも、辞めたがる若い社員が後を絶ちません。どうしたらつなぎ留めることができるんでしょうか」
「30代の若手社員」を手放さない改革
「うちを辞めてベンチャーや“小企業”に転職してしまうんですよ。今の若い人たちはなぜ、あんなにも簡単に転職してしまうのでしょうか」
「30代の離職を防ぎたいんですけど、距離感が難しくて。どういうコミュニケーションを取ればいいのでしょうか」
「『会社がホワイト過ぎて、このままじゃダメになるから辞めます』と言って、辞めていった部下がいましてね。こっちは若い世代の離職率を防ぐために、働き方改革を進めてきたのに……、もう、訳が分かりません」
これらはすべて、講演会やリモート座談会で発せられた、大企業の管理職の人たちから聞いた“声”だ。
はい、すべて大企業。学生にも人気が高く、知名度も高い。つい「名刺」を出したくなるような“社会的地位”が高い企業だ。
確かに、この数年間で働き方改革は急速に進み、ホワイト化した企業は多い。
残業を減らし、有給休暇の消化率を上げ、「休みを取りなさい! 子育ては二人でするもんだよ!」と育児休暇が取りやすい空気をつくり、転勤は「本人の意思」を確認し、“若手抜てき”を合言葉に大きなプロジェクトに参加するチャンスを与える企業も増えた。
「働き方改革=子育てと仕事の両立」という、若い女性をターゲットにする視点から、「学生に選ばれるホワイト企業」へと進化。今では、「30代の若手社員」を手放さない改革に変わりつつある。
なのに、なぜ? な・ん・で“うちの会社”を辞めてしまうのか?
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