
今回は「思い込み」について、あれこれ考えてみようと思う。
ボ~ッとテレビを見ていたときのこと。在宅勤務の生産性に関して、「上司と部下で大きなズレがあることが分かった」というニュースをやっていて、それが実に面白かった。内容は、9月22日に米IT大手、マイクロソフトが公表した調査結果についてだ(資料、「Hybrid Work Is Just Work. Are We Doing It Wrong?」)。
リモートだと部下のモチベーションが維持できない
この調査は、日本や米国など11カ国、2万人余りを対象に実施。その結果、在宅と出社を組み合わせた働き方の場合、「部下の生産性に自信がある」と答えた管理職は12%にとどまる一方、「自分の仕事ぶりは生産的」と答えた部下の割合は87%に達したという。管理職の85%が「部下が効率的に働いているか確信を持ちにくくなった」と疑っているのに、部下は「全く問題ない! 超生産的!」と言い放ったのである。
で、この結果に対し、冒頭の番組では何人かの“上司”と“部下”に街頭インタビューを行い、そのVTRを流していたのだが、そこでの上司=管理職のコメントが面白かった。
「なんか片手間で仕事しているような感じがするんですよ」と(私の記憶に基づいて書いているので、正確なコメントではないです)。
……片手間って。「出社=全身全霊で仕事する」ということなのだろうか。はい。失笑。上司あるある、である。
私が実施したフィールドワークのインタビューでも、似たようなコメントを何度も聞かされてきた。
「まぁ、いいんですけど、リモート会議中に子供が隣に座っているのが映るのは、ちょっとね」
「別に監視しているわけじゃないんだけど、ちょくちょく部下が画面から消えるんですよね」
「今起きました! って姿を目の当たりにすると、なんかやっぱりね」
といった具合だ。
どの“上司”たちも、リモート会議や在宅勤務の利点を認めつつも、「リモートだとやっぱりコミュニケーションがね」だの、「リモートだとチームの生産性がどうなるのか」だの、「リモートだと部下のモチベーションが維持できないのではないか」だのとぼやき、「他の会社ってどうなんですか?」と知りたがった。中には、管理職という自分の立場そのものに疑問を抱く“上司”もいた。
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