(写真:Shutterstock)
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 経済産業省が公表した「未来人材ビジョン」(https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/mirai_jinzai/pdf/20220531_1.pdf)というリポートが、「絶望」という言葉とともに大きな話題を呼んでいる。

 まとめたのは「未来人材会議」。経済産業省が2021年12月に設置した、「今後の人材政策などを検討するため」の会議だ。

頼むから危機感を持ってくれ

 なぜ、このリポートが「絶望」なのか?
 世界における日本のポジションの低さを、「これでもか!」というくらい羅列したからである。

  • 日本は、高度外国人から選ばれない国になっている。
  • 日本企業の従業員エンゲージメントは、世界全体で見て最低水準にある。
  • 日本は「現在の勤務先で働き続けたい」と考える人は少ない。
  • しかし、「転職や起業」の意向を持つ人も少ない。
  • 日本企業の部長の年収は、タイよりも低い。
  • 人材投資の国際比較(GDP=国内総生産比)で日本はビリ。
  • 社外学習・自己啓発を行っていない人の割合は圧倒的に多い。
  • 日本の人材の競争力は下がっている。
  • 海外に留学する日本人の数は減っている。
  • 海外で働きたいと思わない新入社員が増えている。
  • 日本企業の経営者は、「生え抜き」が多く、同質性が高い。
  • 役員・管理職に占める女性比率が低い。

 ……確かに絶望である。

 と同時に、これらはすべて、これまでも新聞などで「このままで日本は大丈夫?」的文脈の記事の中で度々使われてきたデータやファクトであり、私自身も、使ってきた。で、そのたびに企業と働く人との関係性の変化を憂い、「人に投資せよ!」「一人ひとりが輝く組織をつくれ!」と政治と経済界を責めた。

 であるからして、恐らく、経産官僚の皆さんも、「頼むから危機感を持ってくれよ!」ってことなのだと思う。

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