まずは、細谷教授が3月26日に投稿した連続ツイートの一部を紹介する。
細谷教授は、「ロシアの行動は、国連(国際連合)憲章2条4項の国際紛争解決のための武力行使を禁ずる国際法違反。ウクライナの行動は、同51条の個別的自衛権行使に基づくもの。国連総会も日本政府も、それに賛同」と指摘。
その上で、
「あらゆる戦争が悪であると述べることは、正しいようでありながらも、20世紀の国際法と国際的規範の歩みを全否定すること」
「20世紀の平和への努力をじゅうりんすること」
「ロシアもウクライナも、戦争をしているのはどちらも悪いのであって、片方を支持すべきではないというのは、国際的には全く共感されず、単なる国際法の無知とされてしまう」と説いたのである。
未来の日本への希望
ご承知のとおり国連憲章は、「第二次世界大戦中の連合国の協力を基盤とする戦後平和維持の理想を実現し、かつ国際連盟の失敗の教訓を生かした世界平和機構の設立を目的に、1945年6月のサンフランシスコ平和会議で採択され、同年10月に発効した」(日本大百科全書「国連憲章」より)。
「われら連合国の人民は」という文言で始まる前文の一言一句には、なんとかして平和世界を実現したいという先人たちの熱い思いと、「すべての人に幸せになる権利がある」という価値観が込められている。
人は善と悪の心を持つが、他人をいたわること、隣人の痛みを感じること、他者にやさしくすることには、正しい努力が必要である。それらは、訓練して身につけねばならないものだ。
だからこそ先人たちは、未来の「私」たちが、感情のままに行動して悪に流されないように、共通のルールを作った。それは先人たちの「希望」を体現したものだった。
私が細谷教授に共感したのは、まさにこの部分だ。
私たちが働くためのルールである労働基準法も、先人たちの「すべての人には、幸せになる権利がある」という価値観と、「平和な世界を実現したい」という未来の日本への希望が込められている。
先人たちの「希望」は、私たちの日常の中に存在しているのだ。
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