
働きたくない若者が増えている――。
2001年から実施されているパネル調査(労働政策研究報告書 No.213 大都市の若者の就業行動と意識の変容 ――「第5回 若者のワークスタイル調査」――)で、こんなことがわかった。
未来の社会を映す鏡
この調査は2021年1~3月に、東京で暮らす25~34歳の働く男女8000人を対象に実施されたもの。つまり、“働かないオジサン”ならぬ、“働きたくないヤング”の誕生である(調査結果の詳細は後ほど)。
オジサンの対語をヤングとするセンスの悪さはさておくとしても、私自身、数年前から「『働かない働き方』という新しい働き方を目指す新人が増えた」といった、意味不明で、まどろっこしい嘆きを耳にしたり、その一方で最近、「働くことの面白さを若い社員に話してほしい」と講演会でオーダーされたりすることが増えたりしている。
働かずに食べていけるほど豊かな社会なら、「働きたくない」と望む人が増えるのも時代の流れといえよう。しかし世代を問わず、低い賃金で、給料が上がる見込みもないまま働かせられて、風が吹けば振り落とされそうな綱渡り人生を余儀なくされている人が少なくない、そんなご時世だ。なのに未来ある若者が、「働きたくない」のだと。
「でも、長時間労働で鬱になっちゃった先輩や上司を見りゃあ、誰だって働きたくないでしょ?」
確かに、そうかもしれない。
「散々使うだけ使って、『はい、ご苦労!』と肩たたきする企業の、当然の帰結、末路でしょ?」
その可能性は極めて高い。
いずれにせよ、いつの時代も“皮膚の柔らかい”若者の心情は、「今の社会」を色濃く反映する。そして、それは「未来の社会」を映し出す鏡でもある。
というわけで、今回は「働きたくないヤング」について、あれこれ考えてみる。
まずはこちらをご覧いただきたい。
これは先ほどの調査の2001年(第1回)から、2021年(第5回)までの「職業意識の変化」を男女別にグラフにしたものだ。
Powered by リゾーム?