ちなみに、日経ビジネスが特集を組んだ2014年当時、国の基準で「要介護」や「要支援」と認定されている介護が必要な人は約560万人だった(『「総介護時代」がやってくる』)。いわずもがなその数は年々増加し、2017年度末には641万人で、およそ100万も増加。団塊の世代が後期高齢者に加わる2025年には、716万人と推定されている(大和総研「経済構造分析レポート 2025 年までに必要な介護施設」)。いわゆる「2025年問題」である。

辞める理由は1つじゃない

 件の日経ビジネスの記事によれば、多くの専門家が、「政府の調査は過小評価だ」と指摘し、「介護を勤め先に明かしている人は全体の5%程度」との指摘もあったという。

 そこで東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部の渥美由喜・研究部長兼主席コンサルタントの協力を得て試算したところ、「働く人の5人に1人(=1300万人)が隠れ介護」という数字が算出された。

 同年の政府の公式統計(就業構造基本調査)での介護者は、約290万人だ。
 ってことは?
 346万人(前出)というだけでも驚きなのに、隠れ介護を含めると一体何人になるのだろうか。

 隠れ介護こそが最大の経営リスク――というハウス食品グループ本社の判断は、超高齢化社会に突入し、労働力が減少する日本において、極めて重要なものであり、この動きに追従する企業が増えることを願うばかりだ。

 ……しかし、それでも「辞める」という選択を余儀なくされる人は、今後も増え続けるであろう。

 以前、介護離職した50代の男性をインタビューした際、こう話してくれたことがあった。

 「会社には、親のことは話してません。なんでなんだろう……。周りに心配をかけたくないとか、自分の評価に影響するんじゃないかとか、あれこれ理由は付けられますけど、ただ単に言いたくなかったんだと思います。

 介護で会社を辞める人って、理由は1つじゃないと思うんですね。

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この記事はシリーズ「河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。