(写真:Shutterstock)
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 日本の国家公務員が、ゆるやかに増えようとしている。

 新型コロナウイルス感染症への対策などで業務量が増え、人手不足に陥ったことに加え、“ブラック過ぎる”ほどブラックな職場環境を若い世代が嫌い採用試験の申込数が減ったことが要因である。

 二之湯智国家公務員制度担当相は、2021年12月24日の記者会見で、「新型コロナ対応に万全を期すため、関係省庁の体制強化を図る」とした上で、自衛官などを除く国家公務員の定員を22年度に401人増やす方針を示した。2年連続の増加で、22年度の定員は30万3533人になる見込みだ。

あまりに異常なサービス残業

 国家公務員の定員は、1972年度の90万人超をピークに、減少傾向にあった。90年代のバブル崩壊後は、「行政のスリム化」を求める声が強まったことで大幅な削減が行われ、旧民主党政権末期の2012年度には30万人を割っていた。

 一方、20代の国家公務員の自己都合退職は13年度の25人から、19年度は104人と4倍超に増加していた。
 一年前の、20年11月18日の河野太郎制度改革担当相(当時)のブログによれば、「国家公務員採用 試験の総合職の申込者数はピーク時の1996年に4万5254人だったものが2019年は過去最低の2万0208人と半数以下」まで減少。
 さらに、「30歳未満の国家公務員の中で、『すでに辞める準備中/一年以内に辞めたい/三年程度のうちに辞めたい』と考えている者が男性で15%、女性で10%に達しています」と記されている。

 このような状況に危機感を抱いた政治家たちから、「今のままでは霞が関に良い人材が集まらない」などと懸念する声が続出し、ついに「公務員を増やそう!」と、本格的に方針転換したというわけだ。

 これまでも霞が関の異常に劣悪な労働環境は指摘されてきた。その元凶が「政治家」だったことは、言うまでもないであろう。
 20年以上前の1999年12月に刊行された『政経論叢』(明治大学政治経済研究所)に、明治大学大学院政治経済学研究科長を務めた西川伸一氏の論考「病める官僚たち―長時間労働・過労死・過労自殺―」が掲載されているが、同論考には、その“異常ぶり”が克明に記されている(参考コラム)。

 ずっとずっと霞が関の若手国家公務員たちは、「無定量、無制限」で酷使され、サービス残業は「国家官僚としての使命感」と美化され、命を削りながら働いてきた。その異常な職場に、やっと、本当にやっと、光が差し込んだのは素直にうれしい。

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