(写真:Shutterstock)
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 相変わらず“中高年”の評判が悪い。

 講演会で話すとき、「ベテラン社員の暗黙知を最大限に活かすべき」という自説を毎回披露しているのだが、聞いている人たちは「言っていることは分かるんですけど……でもね……」と受け入れられない事情をあれこれ並べるのだ。

どんな期待を持っているのか

 講演を聞いている(=他人がいる)時には、「うんうん、その通り」「言っていることはごもっとも!」と賛同するのに、講演が終わって一人ひとりと名刺交換をするときになると(=本音が言える状況になると)、私の説を否定する。
 先日もそうだった。ある企業の「でもね……」派の人事部長さんは、私と顔を合わせると“流行(はやり)の論理”でこう嘆いた。

 「会社にとって、もっとも望ましい人事のあり方っていうのは、将来が期待できる優秀な人材を採用して、同期競争で勝ち残った人を経営幹部に登用して、期待外れだった人にはお引き取り願うことなんです。
 ただ、昭和の時代は期待外れの人でも置いておく余裕がありましたし、人事の期待とは違う形で会社に貢献してくれることもありました。なので、お引き取り願わないことが、結果的に会社に役立っていました。年功賃金と終身雇用が、強みになっていた時代です。

 でもね、今は会社も変わらなきゃいけないんです。仕事も報酬も見える化して、高いスキルのある人材が高い報酬をもらえるようにして、優秀な人材を確保する必要があります。
 そうしなきゃ、会社が生き残れない時代です。変革が必要なんです。
 となるとやはり、新しい知識に乏しい中高年を、高いコストを払って抱えておくのは厳しいですよ。中高年の雇用を維持するなら、賃金を下げるしかない。ええ、それしかないでしょうね」

 ……期待外れ、か。でも、それって、一体どんな「期待」なんでしょうかね。

 とにもかくにも、要するに「若手より働いてないのに、日本の中高年は給料をもらいすぎ、コストがかかる」と言いたかった。でもって、「あなたの言う暗黙知は分かるけど、それって、具体的にいつ生かされるわけですか?」という苦言かつ難問を、私に突き付けたかったのであろう。

 改めて言うまでもなく、多くの日本企業の賃金体系は、勤続年数や社内のポジションなどに基づいているので、「長く働く=年齢が高い」人がたくさんもらうことになる。その結果、50代前半の賃金がピークになる山型が維持されてきた。

続きを読む 2/5 賃金が軒並み低下

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