(写真:Shutterstock)
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 衆院選の候補者たちが、街頭演説に必死だった10月末。
 私のフェイスブックのタイムラインに、ある女性議員の街頭演説の動画が“目を疑うようなコメント”とともにシェアされた(以下)。
 ――隣の男が「ミニスカートはけよ」とヤジを飛ばしたら、周りの男性たちが失笑。これじゃ候補者増えるわけないわなぁ――

6割近い女性地方議員が被害

 いわゆる“票ハラ”だ。有権者が1票の力(投票)を振りかざして嫌がらせ行為をする「票ハラスメント」を目撃した男性が、投稿していたのだ。

  • Tシャツをプレゼントされて「ノーブラで写真撮って送って」と手紙
  • チラシを受け取ってくれた人と握手していると、おしりをつかまれた
  • 「〇〇(他の女性候補者)に入れるか君に入れるか悩んでいる。もしほっぺにちゅーしてくれたら君に入れてあげる」
  • 「そんなに入れてほしいなら、俺がお前にいっぱい突っ込んでやるよ」
  • 「一発やらせてくれたらお前に入れてやってもいい」
  • 「結婚もしないで何やってるんだ」

 これらはすべて女性地方議員増を目指す超党派の女性議員ネットワーク「WOMAN SHIFT」が、HP上で公開している“票ハラ”の実例である(「女性議員にこんなことしていませんか?」)。

 ……なんなんだこの下劣っぷりは? あきれて物も言えない。

 また、内閣府が2020年12月から2021年1月にかけて地方議員を対象に実施した調査によると、立候補を検討しているときや選挙活動中に、有権者や支援者、議員らからハラスメントを受けたと回答した男性は32.5%で、女性は57.6%と半数を超えた。6割近くもの女性議員が、票ハラを受けていたのだ。

 立候補を断念した人ではさらに被害が増え、立候補準備中にハラスメントを受けたと回答した男性は58%、女性は65.5%にも及んだとされている。与党会派に所属していない女性の方が有意に多かったことも分かっている。

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