(写真:Shutterstock)
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 最近、やたらと「セカンドキャリアを成功させるコツ」について聞かれる場面に出くわしている。

 ある人からはメールで、ある人からは仕事でご一緒した際に、あるときはリモート講演会の質問時間に、そして、中にはお会いしたことがないのに、SNSを通じて長々と人生相談が送られてくる。
 さすがに全く面識のない人にアドバイスするほどの度量は持ち合わせてないので、「多くの人と悩みを共有した方がいいので、メルマガに送ってください。初月無料ですから」と返信するが、それへの返事は、ない。

ナニかをきっかけに大きな決断

 ふむ。無料って言ってるのに、めんどくさいのか? あるいは単なる冷やかしだったのか? はたまた、相談しただけで納得したのだろうか。もっとも胸の内を書き出すことは、自分を客観視することにつながるので相談しっぱなしも意味あることだ。であるからして、「はい、お疲れさまでした!」と思うしかない。

 いずれにせよ、「成功のコツ」を知りたがる人が増えている大きな要因は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響であることは間違いない。飲んだくれていた時間が、自分や家族と向き合う時間になり、かつての非日常が日常になった。その結果、霧がかかっていた「人生の優先順位」が明確になり、積極的に転機を熱望する人が増えたのであろう。

 いわずもがなだが相談者の大半は50代だ。悩み多き世代でもある。

 どんなに周りから「失敗から学ぶことは多いよ」と言われようとも、体力は確実に衰えているし、がむしゃらに頑張る気力もない。「できれば失敗したくない」と願うのは、ごく自然な感情だ。

 しかし、一方で、サクセスストーリーは常に後付けである。
 人の記憶は実に曖昧で都合よく置き換えられるため、「やりたいことだけをやる!」「〇〇になる方法」といった体験談は参考にはなれど、「私」のサクセスストーリーを担保するものではない。

 それでもパラダイム・シフトの入り口に立ち、一歩踏み出したい! という思いは、極めて貴重だ。
 大抵、「変化」を望むのは、心の中の「動き」が止まっていることに気づいたときだ。「動かしたい部分が動いていない」ことが意識化されることで、人は動きたくなる。
 「もう会社を辞めよう」「もっと勉強したい」といった欲求が募り、脳内にイメージされる「ナニか」に出合うと、大きな決断を下すことができる。

 というわけで、今回は「セカンドキャリアに必要な考え方」というテーマで、あれこれ書きつづります。成功のコツになるかどうかは分からないけど、私も悩める50代の1人として、「あなた」がイメージするナニかのヒントにつながると願いつつ……。

続きを読む 2/5 現実は甘くない

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