子どもの自殺問題になると「いじめ」ばかりが注目されるけど、文部科学省が2011年から14年までに自殺した国公私立の小中高校、特別支援学校の児童生徒約500人について実態を調査したところ、「経済的困難」で将来を悲観した自殺が5%程度で、「いじめ」の2%を上回っていたのだ(資料)。

「家ではお魚やお肉を食べられない」

 「努力すればなんとかなる」「自分で稼ぐ方法を考えて、努力する時代なんだよ」と自己責任論に終始する人たちは「努力する能力はすべての人に宿っている」ことを前提にするけど、努力する能力でさえ経済的要因に左右される。「『子どもは親を選べない』親のカネがコロナ格差広げる理不尽」に書いた通り、だ。

 経済、経済、経済って、大人たちは皆、言う。
 しかし、その「経済」は、果たして人を幸せにしているのだろうか。

 貧困問題で、いつも思い出すのは経済学者の下村治さんの言葉だ。

 「本当の意味での国民経済とは何であろうか。それは、日本でいうと、この日本列島で生活している1億2000万人が、どうやって食べどうやって生きていくかという問題である。(中略)その1億2000万人が、どうやって雇用を確保し、所得水準を上げ、生活の安定を享受するか、これが国民経済である」(『日本は悪くない―悪いのはアメリカだ』より抜粋)――。

 結局、働くこと、それにどう報いるのか? ということが、国民経済であり、その国の本質的な「人」への考え方、価値観を物語っている。

 子ども食堂に来た子どもが、「家では魚やお肉をたべられないので、たべられてうれしかったです」「お肉やお魚をお母さんも食べてうれしそうだった」といった感想を書く社会って、いったいどこの国なんだ。

 非正規雇用のあり方、世界最低の最低賃金の議論、さらには、ベーシックインカム。議論すべきことは山ほどある。これまでその都度、何度も書いてきた通りだ。

 日本は「何で食っていく国」を目指すのか? ふわふわしたものじゃなく、具体的に議論してほしい。

コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)

本コラムに大幅加筆のうえ新書化した河合薫氏の著書は、おかげさまで発売から1年近くたっても読まれ続けています。新型コロナ禍で噴出した問題の根っこにある、「昭和おじさん型社会」とは?

・「働かないおじさん」問題、大手“下層”社員が生んだ悲劇
・「自己責任」論の広がりと置き去りにされる社会的弱者……
・この10年間の社会の矛盾は、どこから生まれているのか?
そしてコロナ後に起こるであろう大きな社会変化とは?

未読のかたは、ぜひ、お手に取ってみてください。 

この記事はシリーズ「河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

12/15ウェビナー開催、「外食を救うのは誰か」第1回――すかいらーく創業者の横川氏が登壇

 新型コロナウイルスの感染拡大から3年目となり、外食店に客足が戻りつつあります。一方、大手チェーンが相次ぎ店舗閉鎖を決定するなど、外食産業の苦境に終わりは見えません。どうすれば活気を取り戻せるのか、幅広い取材を通じて課題を解剖したのが、書籍『外食を救うのは誰か』です。
 日経ビジネスLIVEでは書籍発行に連動したウェビナーシリーズを開催します。第1回目は12月15日(木)19:00~20:00、「『安売りが外食苦境の根源だ』ファミレスをつくった男が激白」がテーマです。講師として登壇するのは1970年にファミリーレストラン「すかいらーく」1号店を開業した横川竟氏と、外食経営雑誌『フードビズ』の神山泉主幹です。書籍を執筆した記者の鷲尾龍一がモデレーターとなり、視聴者の皆様からの質問もお受けします。ぜひ、議論にご参加ください。

■日程:12月15日(木)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「安売りが外食苦境の根源だ」ファミレスをつくった男が激白
■講師:横川竟氏(すかいらーく創業者、高倉町珈琲会長)、神山泉氏(外食経営雑誌『フードビズ』主幹)
■モデレーター:鷲尾龍一(日経ビジネス記者)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。有料会員以外は3300円(税込み)となります。
※第2回は詳細が決まり次第ご案内します。

>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。