時給1500円で1日8時間労働、月20日勤務した場合、年収は288万円。
 現在の年収の中央値は「370万円」――。貯金などできるわけがない。

 日本は……本当に貧しい国に成り下がってしまったのだなあと、つくづく思う。
 「私」たちはずっと譲歩し続けてきた。ずっとずっと譲歩し続けてきた。
 ある程度は、仕方がない部分もあったかもしれない。

親の貧困は子どもの貧困

 しかし、本来、働くという行為は、人の尊厳を守るための行為だ。人は生きるために働いている。働くことは人生を豊かにする最良の手段だ。なのに、今の働き方に「尊厳」はない。働くことへの「報い」が、あまりにも、あまりにも、本当に、あまりにもひど過ぎる。

 “落ちる”リスクばかりが高まり、“抜け出す”機会が、ほぼ、ない。

 ごく一部の人たち以外は、細い綱の上を歩かされていて、風が吹くだけでぐらつき、突風が吹けば振り落とされる不安を抱えながら生きている。「落ちたら、ためらわずに相談してね!」と張られたセーフティーネットは隙間だらけで、一度落ちたら足を引っ張り上げる余力はない。

 「日本には貧しさなんてない」などとのたまう人がいるけど、日本の貧困層は働けど働けど楽にならない「ワーキングプア」が9割を占める。これは世界的に見ても極めて珍しい現象で、低賃金問題を“放置”してきたこと意味している。

 大学院を出ても稼げない「高学歴ワーキングプア」、年金が少な過ぎて80歳を過ぎても働かざるを得ない「高齢者ワーキングプア」などのワーキングプア世帯は推計247万世帯(2017年)で、「北海道の全世帯数に相当する」との試算もあるほどだ(「中高年ワーキングプアの現状と課題 ─キャリアアップ・就労支援制度に新しい視点を─」)。リーマン・ショックが起きた2008年の年末に、東京・日比谷公園に開設された年越し派遣村は、「貧困を見える化」し、多くの人たちが「ワーキングプア」という存在に注目したのだけど、もはやワーキングプアは少数派ではない。

 そして、忘れてならないのは、親の貧困問題は、すなわち「子どもの貧困」問題であるってこと。

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12/15ウェビナー開催、「外食を救うのは誰か」第1回――すかいらーく創業者の横川氏が登壇

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■日程:12月15日(木)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「安売りが外食苦境の根源だ」ファミレスをつくった男が激白
■講師:横川竟氏(すかいらーく創業者、高倉町珈琲会長)、神山泉氏(外食経営雑誌『フードビズ』主幹)
■モデレーター:鷲尾龍一(日経ビジネス記者)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
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