街ですれ違うだけでは分からない「格差」が固定化しているのだ。

 テレビの街頭インタビューで「外出できないからお金がたまった」「外食ができないので、家飲みです」とカメラに笑いかける人たちがいる一方で、そのカメラが決して捉えることのない人たちがいる。

年収中央値は370万

 貧困は目に見えない。「目に見えない貧困」に拍車がかかっている。街ですれ違う人、電車で乗り合わせた人、コンビニのレジに一緒に並んでいる人の中にも、不安を通り越して恐怖に押し潰されそうになっている人たちがいる。

 日本には何年も前から「貧困」問題が存在していたのに、「貧困」という2文字を、いったいどれだけの人が「自分たちの問題」として考えてきただろうか。多くの人たちが“肌”で感じている通り、「富裕層」(純金融資産保有額が1億円以上5億円未満)、「超富裕層」(同5億円以上)の割合は、「アベノミクス」が始まった後の2013年以降、一貫して増え続けている(資料)。

 経済協力開発機構(OECD)の分析によると、2000年を100とした場合、主要7カ国(G7)で日本だけがマイナス、すなわち2000年の賃金水準を下回っている。なのに、日本の超富裕層(純資産5000万米ドル超)は世界最大の伸び率を記録したのだ(クレディ・スイス「2016年度グローバル・ウェルス・リポート」)。

 令和元年分の国税庁「民間給与実態統計調査」によれば、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与は436万円(前年比1.0%減)、男性540万円、女性296万円。
 正規・非正規別では、正規503万円に対し、非正規はたったの175万円だ。

 給与階級別分布を見ると、最も多いのが「300万円超400万円以下」(17.0%)。次いで「200万円超300万円以下」(14.9%)。

 また、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(令和元年)を基に年収中央値を算出すると、370万円程度。たったの「370万円」だ。平均だと高い人に引っ張られてしまうので、こちらのほうがよりリアルな実態を捉えている。

 静岡県立大学短期大学部の中澤秀一准教授の試算によれば、「最低賃金は全国一律で1500円は最低限必要」とされている。モデルにしたのは、単身で健康な20代男性で、住む場所は、都内ではなく地方。車を持つ場合は、7年落ちの軽自動車を中古で購入し、6年以上使う。しかも1500円では、家庭を持ったり親の介護を補助したりする金銭的な余裕はないとした。

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