(写真:Shutterstock)
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 今回は「対処力」について、あれこれ考えてみる。

 「自分の心が、どこかに行っちゃった感じかなぁ。だって、もうやるしかないんだもの。僕は絶対に倒れることができないので、自分の体調を考えて、なんとか潰れないようにコントロールしてる。ええ、なんとかできてると思います。
 でも、同じことをスタッフに強いるのは無理ですよ。あまりに過酷すぎる。1年以上続いているんです。僕たちも彼らの健康管理には気をつけてますけど、昨年秋に第1弾、年度末に第2弾と一気に休職や退職が増えました。僕からお願いして留まってもらったスタッフもいますけど、基本的には止められません。なので新しく採用してきました。

 それなのに今は、こんな状況です。昨年、辞めた人に連絡を取ったり、OBやOGにも声を掛けて復帰してもらったりしていますが、なかなか難しいですよね。

コロナとの戦いで成長

 新型コロナ禍で辞めたスタッフには、当然、以前と同じような目に遭いたくないって気持ちがあります。戦線離脱したことで、同僚たちに迷惑を掛けてしまったという気持ちがあって、踏ん切りがつかないスタッフもいます。現場ではね、メディアがフォローしてない問題がいくつも出ているんです。だから、本当は僕も『とにかく力を貸してくれ』と言いたい。けど……軽々には言えません。

 ただね、1年半以上にわたるコロナとの戦いで、驚くほど成長したスタッフがいます。その前提として、殺人的な勤務状況でも耐えられるだけの、強靱(きょうじん)なメンタルと体力があったということなんでしょうけど。言い方が難しいのですが、意外なスタッフが成長した。それはちょっとした驚きであり、僕の立場としてはうれしいことでもありました。

 個人が持つ底力というのは、危機的な状況じゃないと分からないもんだなぁと思ったりしてね。よくあなたが言ってる、全ての人に宿る内的な力というのを実感してますよ」

 コロナ感染爆発の終わりが一向に見えず、再び、戦場と化した医療現場の厳しすぎる状況は、連日メディアでも報告されている。自宅療養中に亡くなるという痛ましい事態も発生する中、医療現場に関わる知人にコンタクトしたところ、上記のコメントを返してくれた。

続きを読む 2/5 明るく元気な人が持つ力

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この記事はシリーズ「河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。