“夢のような会社”とはキヤノンだ。
「キヤノンは就業時間を使い、半年程度のソフトウエア専門教育を年間5000人程度に実施。生産現場の従業員も含め幅広い人材の職種転換を後押しする」とのこと。
「終身雇用の日本では教育で人材競争力を高めるのが合理的だ」との御手洗冨士夫会長兼社長CEO(最高経営責任者)のコメントも掲載されていた。
「学び直し」ではない
「40代以上はいらん」と希望退職を募りまくり、非正規雇用を増やしまくった多くの日本の企業にとって「終身雇用」という概念は過去のものだ。
一方、キヤノンは米国にはない終身雇用を堅持し、リーマン・ショック後もリストラを一切せず、希望退職を募るなどの施策も国内では行っていない。元キヤノンだった方を数名インタビューしたときには、「雇用を維持しようとしている会社の期待に応えようと、踏ん張っている社員は多い」と話してくれた。もっとも、終身雇用の負の側面などネガティブな意見もあったが、どんな会社であれ「中の人」は不満があって当たり前だし、大抵の場合、そういう会社ではさまざまな「社員が元気になる制度」がくもの巣のごとくちりばめられている。
私が一貫して「長期雇用」(終身雇用とは違います)の重要性を訴えているのは、まさにそういうこと。長期雇用は多種多様な「社員が元気になる制度」があってこそ維持できる。経営者がきちんと経営をし、会社を存続させようとすればおのずと長期雇用にいきつく。
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