• 2013年に、東京が2020年の開催都市に決定したあとに、IOC(国際オリンピック委員会)、東京都、JOCの3者で、開催都市契約を締結した。
  • 大会の開催を準備・運営するための実行部隊としてできたのが、オリンピック組織委員会。
  • 「運営の責任」を負うのは組織委員会。ただし、組織委員会にはJOCも関わっているし、東京都からも多くの職員が出向している。
  • 「スポーツの現場」の責任を担うのがJOC。さまざまなスポンサーを集めるジョイントマーケティングや、競技団体と調整し、開催に向けてさまざまな競技の選手団の強化などを行う。
  • JOCの会長=山下泰裕氏、東京都知事=小池百合子氏、組織委員会の会長=橋本聖子氏、オリパラ担当大臣=丸川珠代氏と、4つの組織それぞれにトップがいるが、誰が先頭に立って意思決定をするのかは明確には決まっていない。
  • 開催都市契約には不平等条約のような側面があり、IOCに大きな決定権があり、IOCが開催といったら開催する。IOCのトーマス・バッハ会長が“Here we go!”と言ったら、“Here we go!”。

覚悟次第で中止できた

 つまり、開幕前にどんなに感染が拡大し、医療現場が逼迫しようとも、五輪会場でクラスターが発生しようとも、IOCのバッハ会長が“Let's stop it!”と言わない限り、あるいは参加する選手が全員辞退しない限り、「五輪は続く」ということなのだろう。

 ただし、そう、ただし、1人だけIOCに異を唱えることができる人がいる。それが開催国のトップ。菅首相だ。

 菅首相は国会で、
 「私自身は主催者ではありません。東京都、組織委員会、IOCなどによって最終協議されるわけですが、私自身は我が国の国民の安心、安全を守る、そうした使命があると考えている」(要旨)と答弁したけど、IOCの決定に反対の意見を言っちゃいけないなどというルールは、どこにもない。

 菅首相はG7サミット(主要7カ国首脳会議)で国際社会に「開催」への協力を求め、開催することを約束したわけだが、その逆だってできる「力」は手中にある。それを行使するかしないかは、ご本人の「覚悟」次第だ。

 だが、どうやらその覚悟は「安心安全に開催をする」という精神論に終始している。「全力で取り組む」という言葉も大好物だ。
 となれば、各組織のトップたちは、いかに感染拡大を「今」抑えるかを考え、即実行するしかないはずである。
 しかし、開催の責任を担う組織のトップたちから、そういった心意気がまったく感じられない。

 ご承知のとおり、橋本会長が6月21日の記者会見で、観客に対する会場での酒類の販売や提供を検討していることを明らかにし(資料)、22日午前にはTBSが「東京五輪組織委 競技会場での酒の販売認める方向で検討」と報じた(該当するページは現在、削除されている)。

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