(写真:Shutterstock)

 立て続けにATM障害などのシステム障害を起こしたみずほ銀行に関する報告書が公表された。167ページにわたるその内容は、“残念な職場のリアル”そのものだった。

 この報告書を読み、「ゲッ、うちの会社大丈夫かな?」と翌朝、“現場の声”を自ら取りに行ったトップがいる会社は……大丈夫だ。そういうトップは9割以上の確率で、地に足の着いた“経営哲学”を持ち、“人”を大切にし、現場との距離感が近い。

大企業あるある、満載

 一方、「へ~っ、こりゃあダメだろ。うちはちゃーんと下から情報が上がってくるようになってるし~」と慢心しているトップの会社は……かなりヤバイ、うん、相当にヤバイ。「下から情報は上がってくる」と思い込んでいる時点で、アウトだ。

 いずれにせよ、恐らく日本中の多くの“中間管理職”たちが、この報告書を読み、身につまされたであろうし、現場で「お客様」に日々接している“社員”たちは、経営陣の改善案を聞き、「こうやって、また、現場の仕事が増えていくんだよ」と口をとがらせたに違いない。

 それほどまでに今回の報告書には、仕事の最高の褒美が「ヒエラルキーを登ること」になっている大きな組織の問題点がつづられていた。「大企業あるある!本」とネーミングしたくなるほど面白かった。いや、面白いというのは不適切か。もとい。実に、興味深い内容だったのである。

 というわけで、今回は第三者委員会による報告書から、「上と下の壁」について、あれこれ考えてみようと思う。

 ご興味ある方はこちらから全文をお読みいただくとして、私が注目した箇所は以下の通り(抜粋し要約したもの。全文はこちら)。

【ATMの稼働が停止した2月28日の障害に関して】
●顧客に及んだ影響

・5000人以上の顧客がATMの操作で、通帳・カードが突然取り込まれ、「何の情報もないまま」長時間立ち往生せざるを得なかった。
・5244件の通帳・カードのうち、4000件が翌日以降に返却。
・顧客から多数の苦情が寄せられ、具体的には……、「7時間以上待たされた」「5時間待ち続け駐車場代がかかった」「携帯電話で銀行に電話をかけ続けパケット料が上がった」「ATMセンターに電話が繋(つな)がらず『喪失受付窓口』に196回電話してようやく繋がった」「重要な試験の受験を見送った」「仕事をやむなく休んだ」「予約したイベント等に行けなくなった」「長時間トイレに行けなかった」「寒い中飲まず食わずで立ちっぱなし」etc.etc……。

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