
「色々とやってはいるんですが……難しいですね。ホント、どうしたらモチベーションを上げてくれるのか。自分では言葉を選んでコミュニケーションをとってるつもりなんですけど、あからさまに嫌な顔されるとこたえます。年上部下って、ストレス以外の何物でもないです」
ここ数カ月、40代のリーダーたち向けの講演会やセミナーが立て続けにあったのだが、以前にも増して“こんな悩み”を訴える管理職が増えた。
いわく「頭痛の種は、50代の役職定年者」だと。
上司は女性、しかも30代……
学ぼうとしない、理解しようとしない、自分のことしか考えない、会話しようとしない、などなど、「ないない攻撃」にへきえきしているのだという。
私も“年上部下”たちとは同年代。悩みを訴える“年下上司”たちに、「いやいや、おじさんおばさんたちも、実は内心〇〇なので、ほにゃららほにゃら~してみて」などとアドバイスする半面、彼・彼女ら(=年下上司)が心底困っている様子に、なんだか申し訳なくなった。
なにせ、昨年の今頃は、「転職か独立か!」と尻に火がつき、これまでにないザワつきを50代の会社員たちから感じていたのに。新型コロナウイルス感染拡大の影響で「仕事以外の楽しみを見つけちゃたんで、給料もらえるうちは、ね……っ!」ということだろうか。
同級生たちを見渡せば、「ふむ、確かに二分化してる」と感じることもしばしばだ。誰もがセカンドキャリア、サードキャリア、が気になっているはずなのに、「もう一踏ん張りするぜよ!派」と「ひたすら息を潜める派」に確実に割れている。
もっとも役職定年を経験した人たちには、何人もインタビューしてきたので、「ないない攻撃」に出る気持ちが分からないわけではない。
「さんざん競争させといて、突然、年齢で一斉に役職定年ですよ。どんなにがんばっても、びた一文も上がらないんだから」
「2割減だって理解してたけど、給料の振込額を見てがくぜんとした。慌てて住宅ローン組み替えましたよ」
「上司は女性。しかも、30代ですよ。私の30年間は何だったのか。釈然としない」
「人生後半戦はいかにうまく下山するかだ! とかって、元上司が言ってたけど、悠々自適に定年していった団塊の世代がうらめしい。だって、下山する余裕もないんだもの。いきなりズトーンって感じですよ」
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