山口:はい。オリンピック、パラリンピックの開催に当たっては、多くの人たちが不安に思っていること、そしていろいろなご意見があるというのは、私の耳にも届いていますし、受け止めているところです。

多くの人が納得できる五輪に

 それに対して、どういう判断や行動がベストなのかというのは分からないんですけれども、なるべく情報を皆さんにお届けするように、まずは情報を開示することに努めたいと思います。そして、その上で皆さんにご理解をいただけるような対話、議論を進めていけるように、開催まで残り短い時間になりましたけれども、続けていきたいと思いますので、どうか見守っていただければと思います。

河合:やはり、開催される、ということですね?

山口:まだ予断を許さないといいますか、やはり新型コロナウイルスの感染状況がどうなっていくかが開催への判断、国民の不安感情にも大きな影響を及ぼすと思います。

 やれるか、やれないかということでいえば、どういった形でもいいんだったらやれるとは思います。ただ国民が応援してくれる状態でやれるかというと、また別の話ですね。

 それからもう1点だけ。海外のアスリートたちに、フェアな環境を用意できるかどうかも大きいと思います。ホスト国、日本の選手たちはやはりアドバンテージがあります。例えば柔道でいえば、ある程度バブルにしたとしても練習のパートナーは、きっと自由に調達できます。

 でも海外の人はトレーニングパートナーも連れてこられない。事前合宿でも、十分な準備ができるかどうか。十分なコンディションを整えることができない状態で、どうやってなるべくフェアに戦える状況にもっていくかが、大きな課題だと思います。

河合:最後といいながら、もう1つだけ。米疾病予防管理センター(CDC)は日本への渡航に関する注意レベルを、レベル4に指定していますね(本誌注:6月7日にレベル3に変更)。

山口:ええ、一方でアスリートは特別だとも言っていますが、日本の状況を見ながら、対応は変わってくると思うんです。万が一にも、米国が五輪を辞退するようなことになれば、IOCも大きな決断を迫られる可能性があります。

河合:日本はIOCに従い、IOCは米国に従うってことですね。

山口:米国が一番大きなスポンサーですし、たくさんのアスリートがいる米国選手団が参加するかどうか。ここが大きな鍵を握っていると思います。ちなみに河合さんはオリンピック開催については、やはり……?

河合:実は私、この件に関してはどこでも意見をしてないんですよ。リスクを徹底的に下げて、リスクをつぶすことを、とにかくやってくれということだけです。当然、医療現場に与えるリスクも含めて考えて、どうするのか。いざとなったらIOCに、世界に「ノー、できない」と言わなくちゃいけないんだということも示してほしい。

 なので、山口さんに本当に情報発信してほしいし、ものすごく期待しています! よろしくお願いいたします。

山口:私の言うことが正しいとは思いませんが、私の発信が、考えることや議論のきっかけになれば嬉しいと思っています。

コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)

本コラムに大幅加筆のうえ新書化した河合薫氏の著書は、おかげさまで発売から1年近くたっても読まれ続けています。新型コロナ禍で噴出した問題の根っこにある、「昭和おじさん型社会」とは?

・「働かないおじさん」問題、大手“下層”社員が生んだ悲劇
・「自己責任」論の広がりと置き去りにされる社会的弱者……
・この10年間の社会の矛盾は、どこから生まれているのか?
そしてコロナ後に起こるであろう大きな社会変化とは?

未読のかたは、ぜひ、お手に取ってみてください。 

この記事はシリーズ「河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

ウェビナー開催、「1時間で完全理解 『量子コンピューター』は何がすごいのか」

 岸田内閣の「新しい資本主義」の重点投資に組み込まれた量子コンピューター。既存のコンピューターよりも処理速度が速いといわれる量子コンピューターですが、その技術や、我々の社会や経済をどう変える可能性があるのかを理解している人はまだ少ないのではないでしょうか。

 日経ビジネスLIVEでは9月13日(火)19:00~20:00に「1時間で完全理解、 『量子コンピューター』は何がすごいのか」と題してウェビナーをライブ配信する予定です。登壇するのは、住友商事で新規事業創出を担うQXプロジェクト代表・寺部雅能氏と、業界動向に詳しい野村総合研究所IT基盤技術戦略室エキスパート研究員の藤吉栄二氏。量子コンピューターの技術的な特徴から、ビジネス活用の最前線まで分かりやすく解説します。

■開催日:2022年9月13日(火) 19:00~20:00(予定)
■テーマ:1時間で完全理解、「量子コンピューター」は何がすごい?
■講師:寺部雅能氏(住友商事QXプロジェクト代表)、藤吉栄二氏(野村総合研究所IT基盤技術戦略室エキスパート研究員)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料(事前登録制、先着順)
>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。