だが、この「チケット争奪戦」方式の接種予約は、おじいちゃん、おばあちゃん自身でこなせるとは思えない。そもそも接種券の文字が小さすぎる。河野太郎大臣肝いりの「ワクチン接種記録システム(VRS)」に対応するものなのだろうけど、これをデザインした人たちは「高齢者」の認知機能を過信している、あるいは「高齢者のことを全く考えてない」としか思えないものだった。

 が、その一方で、区側は次々かつスピーディーに、「高齢者寄り」に予約方法を改善。臨機応変に「区の最初の予定」を変更したのである。

「何でも任せて」頼もしいスタッフ

 ネットと電話だけだった予約が、2日後からは高齢者が近くの支所に出向くことでも予約できるようなった。
 この“新予約方式”は、SNSだけでなく、防災無線でも繰り返し流された(都会のど真ん中ですが……)。
 また、当初「2回目の予約は、1回目の接種後に行う」としていたのだが、「2回目の予約は、1回目の接種後に指定される。都合の悪い場合は変更できる」ことになった(ホームページにデカデカと記載されている)。

 さらに、6月以降の接種会場には、予定されてなかった大学病院などが次々と加わった。

 メディアでは「7月中に終わらせろ!」という官邸からの圧力が問題として報じられていたけど、接種券が配布される前から、「7月中にすべての65歳以上の人たちが2回接種できます」と繰り返しアナウンスしていたので、あくまでも「高齢者の利便性」のために柔軟に変更した、あるいは調整に時間がかかったかのどちらかだと思われる。

 で、接種当日。

 年寄りにまつわることは、いかんせん時間通りにはいかないので、早めに家を出たため、予約時間より30分以上早く着いてしまった(混雑する可能性があるので、予約時間に来るようにと案内には書かれていた)。

 ところが、会場の入り口のスタッフが、「大丈夫ですから7階に行ってくださいね」と母の足元をフォローしつつ、私には「お嬢さんも一緒に会場に進んでください!」と言ってくれたので、母もホッとした様子だった。
 私の後ろにいた女性が、「うちの母は車椅子なので、同じエレベーターで大丈夫ですか?」とスタッフに確認すると、「お手伝いします!」と別のスタッフが一緒に、その女性が乗って来た車まで行き、サポートしていた。

 とにかくすでに、この時点でスタッフの人たちの「なんでも任せて!感」が半端なかった。

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