(写真:Shutterstock)

 この数日間、「なんか……不公平ですよね~」という言葉を、何度聞いただろうか。

 ある時はタクシーの運転手さんから、ある時はリモート講演やリモート会議で、ある時は近所のスーパーでばったり会った知人から、また、テレビの画面からも「不公平」が繰り返された。

 緊急事態宣言などによる休業要請の範囲、休業支援金の対象、東京五輪・パラリンピック問題、“上級国民の自分だけは別”的行動、そして医師・看護師の待遇問題などなど、「不公平感」が日本中のあちらこちらで高まっている。とにもかくにも合点がいかないことだらけだ。

日医・中川会長の「説明」

 まん延防止等重点措置の期間中に、リアル政治資金パーティーへ出席した日本医師会の中川俊男会長は5月12日、「パーティーは感染症対策のガイドラインに基づいて開催された」と語り、「演者の講演を聴く勉強会で、参加者同士の会話は一切ありませんでした」と釈明した。しかし、自粛要請されている各業界だって万全の感染対策をしているし、どうにかして新型コロナの感染拡大を防ごうとしている人、店、施設は山のようにある。

 「感染拡大を抑える基本は、各自の意識と行動である」(by 中川氏)というから、飲食店などは新たに換気設備を整えたりして、「明日、生きるため」にわずかな金額でも必死で稼ごうとしているわけで。「参加者同士の会話は一切ありませんでした」(by 中川氏)とエクスキューズできるなら、なぜ、鑑賞するときに会話をしない映画館が休業要請の対象になるのか。全くつじつまが合わない。これを「不公平」と言わずして、なんと言うのだろうか。

 映画館の経営者や映画監督、ファンなどが、都庁前で無言の抗議デモを行った際、東京都からは「人流を抑えるための総合的判断」などの答えしかもらえなかったという。

 スポーツや演劇などのライブイベントは「収容率50%かつ5000人以下」で時短営業などの対応を取れば開催が許可されているのに、映画館などには納得できる説明がない。それが不公平感を煽(あお)っている。
 「ひょっとして、オリ・パラ開催のアリバイづくりになるかならないかで、要請する業種を決めてるんじゃね?」と思われて当然であろう。

 しかも、緊急事態宣言の解除の基準について、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の小林慶一郎氏がNHKに出演した際に、驚くべき事実を教えてくれた。なんと「基準とかなんとかじゃなく、いついつまでって日付を決めちゃった方が、みんなガッ~っと頑張れるっしょ」(←もっと丁寧な発言でしたが)という意見が政府側から出ているのだという。

続きを読む 2/5 先に「ワクチン打ちました」

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